NECパーソナルコンピュータには、米沢事業場と群馬事業場の2カ所の事業場がある。このうち、米沢は同社のPC開発生産拠点だ。製品の設計・開発から、アッセンブリでの組み立て生産、出荷までを一貫して担当。従業員数は2015年4月現在約980人で、多くが女性のスタッフだ。

生産品は、企業向けブランドの「VersaPro」「Mate」と、コンシューマ向けブランド「LAVIE」の一部モデル。加えて、2015年2月からレノボ・ジャパンの「ThinkPad」の一部モデルも生産を開始した。

コンシューマ向けの店頭モデルは生産計画に沿って生産されるが、ビジネス向けは受注生産、そしてWebモデルはBTO対応となり、受注モデル(構成)数は20,000モデル以上。日によって受注量は大きく異なり、日当たりで約200台から約7,000台まで変動する。この変動をいかに平均化するかが、米沢事業場の課題のひとつという。

ここからは、効率化を求める工夫に満ちた事業場内部の様子を写真で紹介していこう。

ノートPCのライン名は米沢藩9代藩主・上杉鷹山が由来の「YOZAN」。通常ラインの「YOZAN」と、先進機材や高い技術をもったスタッフを配置する高性能ライン「スーパーYOZAN」の2種類があり、スーパーYOZANで行った工夫をほかのラインに反映させる取り組みもしている

組み立て1台ごとにICカードを読み込み、必要な部品をライン上の画面で表示。女性がパーツを取りやすいよう、パーツの入った棚が自動で肩の高さに上がるといった工夫も

一つのラインで梱包まで行う。梱包箱は小さく薄くすることで輸送費や保管費を少なくしたが、その一方、積んだ際に倒れやすくなる。試行錯誤の末、100均の転倒防止シートが転倒防止に効果的だとわかった

「ThinkPad X1 Carbon」や「ThinkPad X250」、「ThinkPad X1 Yoga」なども米沢事業場で生産。ライン名がThinkPadロゴ風になっているのが面白い

生産の流れはLAVIEと同等。米沢生産のThinkPad製品には、梱包箱に「米沢生産」のロゴが印字される

組み立て中の「ThinkPad X1 Carbon」

デスクトップPCのライン名は、米沢藩藩祖の上杉謙信を由来にした「KENSHIN」。こちらにも通常の「KENSHIN」ラインと、「スーパーKENSHIN」ラインがある

デスクトップPCのライン。ノートPCと比べ重いため、回転台の上で組み立てる。小さなライン(セル)を複数並べて列にし、重いデスクトップPCを移動させる労力を最小限に

ディスプレイ表示検査など。法人向けの製品では、業務に必要なID設定やソフトウェアインストールなども、米沢事業場であらかじめ設定・インストールしてから出荷する

デスクトップPCのラインではローラーを取り入れ、女性でも少ない力でPCを動かせるようにしている

部品やケースを運ぶロボット「自働機」がライン近くを動きまわっている

出荷前のデスクトップPCは奥のスペースに集められる

事業場1Fのエントランスホール。歴代の生産PCや最新モデルなどが展示されている

NEC初のノートPC「PC-9801N」(1枚目右)、そして98ノートの原型となった「PC-8401A」(1枚目左)。今となっては見たことのない読者も多いかもしれない。PC-9801NのCPUは4MHz、メモリは64KB。ディスプレイは80×16ドット。発売は1989年11月

国民機と呼ばれたNEC「PC-9801」

「PC-9801」から約4年後に発表された「PC-98LT model1」

前面の丸い曲線が特徴的な「LaVie PC-LS46H/24DV」

ハローキティとコラボした「LaVie G ハローキティモデル」。スワロフスキーのクリスタルガラスでキティを描いた。「とても売れた製品」という

液晶一体型PC「VALUESTAR N」初代。ディスプレイは15.4型と小型で、家ナカPCとして同社がアピールする「Frista」(15.6型)と同クラス

細かなひっかき傷などを自動で修復するスクラッチリペアを天板に初採用した「LaVie PC-LJ750/LH」

一体型PC「LAVIE Desk All-in-one」の内部解説

A4型ノートPC「LAVIE Note Standard」の内部解説