140文字の文字数制限について
説明会の最後には質疑応答の時間がもうけられ、記者団の質問に笹本氏、牧野氏が回答していった。「サービスの変化の方向性が、わからない。ツイート可能な文字数は増えるのか、増えないのか」といった質問に関して、牧野氏は「Twitterでは定期調査を行っており、絶えずユーザーの声を開発に活かしている。140文字の文字数制限についても、多くのご意見やフィードバックをいただいている」と解説。ただ、文字数制限についてはまだ結論が出ていないという。「何をやっても批判はあるので、やることのメリット、デメリットで判断していく。良い方にインパクトがあるものを選ぶ」と牧野氏。なお一部報道で「タイムラインの時系列表示をやめる」と噂されている件についても、140文字の問題と同様、結論が出ていないとするに留めた。
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一連の”騒動”となった背景を企業、投資家、利用者それぞれの視点から振り返ってみる。企業としてはトレンドの変化、ユーザー数の増加にともない、その都度、サービスを進化させていきたい思惑がある。流行り廃りの激しい業界にあり、立ち止まることは後退を意味している。ただ、変化を実現するには使い慣れた環境に愛着を持つ既存ユーザーも納得できる形にしなくてはならない。「文字数制限の撤廃」「タイムラインの時系列表示の廃止」を検討中のTwitter、それに反発を示す既存ユーザー、双方の気持ちはよく理解できる。
このジレンマを解決するためには強力なリーダーシップが必要になるが、サービスの方向性をコロコロ変え始めると投資家には迷走、果ては危ない兆候として映る。実際、舵取りを間違えたとして、前CEOディック・コストロ氏は退任に追い込まれた。創業者がトップの座から退くと企業の業績が落ち始めることはよくある話。投資家にしてみれば、さしずめ「悪い予感が当たった」といったところかもしれない。Twitterを成長させてきた創業者がトップに返り咲き、「原点回帰」を打ち出したことは、勢いのあった右肩上がりの時代の再来を人々に期待させる。投資家、利用者のみならず社内にも”当面の”安心感をもたらすだろう。もっとも、これは問題が先送りされたに過ぎない。Twitterは大丈夫なのか、その答えが、創業者の次の一手にかかっているのは変わりない。
日本市場では、スマートフォンの使用頻度の上位をLINE、Facebook、Twitterが占めている。3サービスの利用者層を年代別に比較するとLINE、Facebookが中高年層40代、50代にも受け入れられつつあるのに対し、Twitterを利用する同年代は、それほど多いとはいえない。
その理由として、LINE=メールの代わり、Facebook=ブログの代わり、と頭のなかで容易に置き換えられるのに対して、Twitterが何をするものなのか、いまだに理解が浸透していないことが考えられる。そういった意味では、Twitter Japanがキュレーションサイトとしての使い方、リアルタイム検索できるツールとしての使い方を啓蒙している点を評価したい。日本市場における成長モデルが、ひいては米Twitter社の窮地を救うヒントになる、そんな可能性も秘めている。