Appleは、暗号化の必要性について訴える。スマートフォンは我々の生活に欠かせない道具となり、非常に多くの個人情報を保存している。昨今iPhoneは、Apple Payのサービスを開始し、またヘルスケア分野の機能充実にも積極的だ。コミュニケーションだけでなく、家族、金融、健康といった、よりプライバシー度の高い情報を取り扱おうとしている。
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その理由は、iPhoneというブランドを長く使ってもらうためだ。2年というiPhoneの寿命よりもより長い、人々の人生の情報を「信頼して保存できる」対象になることは、より長くiPhoneを使い続けてくれる可能性を高めるからだ。
実際、AppleのiPhoneに対するセキュリティのこだわりは、面倒なほど強い。例えば、昨年2015年のWWDCでiOS 9の機能として披露した「ニュース」には、機械学習によるおすすめ記事のレコメンド機能がつく。ただ、Appleが機械学習に利用できるのは、「ニュース」アプリ内でのユーザー行動だけだ。
そして、再三にわたってプライバシー配慮のポリシーのスライドを見せ、外部サービスから情報を持ってきたり、学習結果を他のアプリで活用したりすることはない、と念を押した。例えば、「ヘルスケア」アプリで体重増加や血圧の上昇が見られるから、「ニュース」アプリに「健康自然食」に関するニュースを提案する、といったデータ活用はしない、ということだ。できないわけではなく、「しない」のだ。
この姿勢は、Gmailをクロールして、マップ上に自動的に飛行機やホテルの予約の日時を表示する機能などを提供する、Googleとは大きく異なる。そして、若干厳しすぎて、サービス提供者であるAppleの首を絞めているようにも映る。
しかし、それでもAppleは、個人、企業のユーザーのプライバシ、セキュリティの配慮のため、「しない」のだ。