NTTは東京都三鷹市にあるNTT武蔵野研究開発センターにおいて、2月18日・19日で「NTT R&Dフォーラム」を開催する。今回、一足先にプレス向けの内覧会が実施されたので、その一部を紹介しよう。

東京都三鷹市のNTT武蔵野研究開発センターで「NTT R&Dフォーラム」が18日・19日に開催される

2020年を目指した最新技術を展示

NTT R&Dフォーラムは、同社グループで広く研究開発が進められている技術を一堂に会して紹介する年1回のイベントだ。基本的にはグループおよび取引企業向けで、事前の参加登録が必要だが、NTTグループの社員に紹介してもらえれば、一般ユーザーでも参加できる。NTTドコモも単独で秋に、横須賀にある同社のR&Dセンターで技術内覧会を開催するが、それをグループ全体の規模で行うものと思えばいい。

今回の展示では2020年、東京オリンピックを視野に入れた技術開発が中心。イベント専用にスマートフォンアプリ(iOS、Android用)が用意されており、「アングルフリー物体検索技術」を使い、展示物をスマートフォンで撮影することで情報にリンクさせる「かざして案内」、スマートフォンの現在位置をBluetoothビーコンで把握して混雑具合をリアルタイムに表示する「混雑マップ」、同様にWi-Fi電波強度を可視化する「Wi-Fi強度マップ」などが利用できる。このほか、会場中央ではプロジェクションマッピングを利用したサイネージによる情報提示や、前述した混雑マップ、Wi-Fi強度マップなどの利用状況を確認出来る「Showcaseコックピット」が展示されている。

Wi-Fi強度マップは特殊な機器を使わず、スマートフォンとビーコンのみで実現。こうした情報をリアルタイムに処理し、制御できる様を体感

このほかにもIoTをターゲットにしたり、AIを使った技術の展示が多く行われていた。その中からスマートフォンと関連の深いものに加え、筆者の印象に残ったものをいくつか紹介していこう。

臨場感あふれる映像配信の追求

NTTグループでは2020年の東京五輪をめどに、4Kや8Kといった映像配信を、競技場にいるかのような臨場感が味わえる技術紹介も行われていた。プロトコル面から音、映像の撮影法にいたるまでさまざまな技術が展示されている。そしてこれらを「イマーシブテレプレゼンテーション技術 Kirari!」と総称し、「競技空間を丸ごと遠隔地に伝送し、再現する」体感を目指しているという。

今でもスポーツ競技やコンサートなどのパブリックビューイングは行われているが、これをより高精度に、臨場感あふれるものとするのが目的。東京オリンピックでは、日本各地でこうした技術を使った観戦ができるのを期待したい。

映像表現的には、3Dグラフィックを実物大で表示できるのがポイント。暗いステージ上では実物と見分けがつかないほどの臨場感がある

スマートフォンで手軽な3Dホログラフィック

前述した映像配信「Kirari!」のモバイル版として展示されていたのが、スマートフォン向けのホログラフィック表示システム。入り口で配布されていた紙製のキットを組み立て、上にスマートフォンを置くと、箱の中に3DCGのコンテンツが浮き上がる仕組み。

写真はタブレット用の大型のキットで、中で3Dのキャラクターがダンスしている。閲覧者が姿勢を変えるとキャラの向きも変更できる

構造的にはハーフミラーを使った単純なものだが、コンテンツの表示部を調整することで浮き上がる位置(距離)を制御できる点がポイント。表示する「箱」もかなり安価に作れるため、イベントなどで配布する際のコストも低くおさえられる。技術的にも複雑なことは少ないため、はやく市場に出回ってほしい技術だ。