「教員の社会人力に大いなる違和感を覚える」
同市では今回の教育大綱を策定するにあたって、2015年5月26日~7月31日の期間、「神戸市のこれからの教育についてのアンケート」を実施。集まった623件の意見を見ると、教員の資質に言及したものが目立つ。
外部コーチとして20年以上部活動を指導しているという40代の男性は、「顧問や教頭、校長である学校現場以外の社会を知らない教員の判断は、私にとって不可解な非常識が常態化しています」と指摘。40代の女性も「保護者とメールでやりとりするなど、若い教員の社会人力に大いなる違和感を覚える」と述べている。
その上で、「一にも二にも教員の地位と資質の向上が最重要と思います」(50代男性)、「教員の啓蒙、教育、あるいは入れ替えが必要である」(50代男性)、「若手教員が増え、質も落ちている中、やはり複数指導などにより、質を上げていくことが急務であると考えます」(20代男性)など、教員の質の向上を訴える意見もあった。
教員の多忙化対策も必要
一方で、同大綱には「4 教員の多忙化対策に取組みます」という項目もある。「教員が子どもに向き合う時間を確保し、教員自身が指導力や授業力を高め、学級運営などを円滑に進めるためには、教員が多種多様な事務処理から開放され、自分でコントロールできる時間を確保できるようにすることが大切である」とのことだ。
前出のアンケートの中にも、教員の業務量を見直してほしいという意見が多かった。50代の男性は「教員の仕事は教育ですが、それ以外の業務が多すぎるため教員は疲弊し、やる気を喪失したり身体を壊しています」と指摘。30代の女性は、「優秀な一般行政職員を学校事務職員として出向させ、今まで教員が過剰に負担していた雑務を移管するべき」と提案している。
さらに30代男性は、「神戸市の教員は、子どもたちともっと関わりたい、もっと色んなことを教えたいと思っています。しかし、日々の仕事に追われています。教員の増加を求めます」とそもそもの教員の数を増やしてほしいと訴えた。
同大綱の冒頭で、久元市長は「子どもたちが夢や希望をもち、健やかに成長するためには、教員自身が『夢をもった子どもたちを育てる』という強い信念や情熱をもち、生き生きとした姿で子どもたちの前に立つことが求められます」と記した。さらに「そのような教員を育て、支えることは、教育行政の大きな使命です」とも宣言している。
教員の適性を判断することに加え、勤務環境を整えることも、教育行政の大きな役割といえるだろう。
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