舌下からスギ花粉アレルゲンが認識されて、口腔・咽頭などのリンパ節で反応。アレルゲンを認識して、「制御性T細胞」の増加を介することで、抑制系の免疫誘導を促すという効果発現機序だ。

具体的には、スギなどの抗原エキスを舌の下側(舌下)に滴下する。そして、一定時間その状態を保ったあとで飲み込む。この行為を何度も繰り返すことで自らを抗原に慣れさせていき、重症化を抑えるというものだ。免疫療法に関する正しい知識が必要となるが、自分の手で"治療"を行えるため、通院しないですむし保険も適応される。

免疫療法終了後も効果が持続

舌下免疫療法を通じて症状が緩和された臨床試験例も報告されている。花粉症患者531人を対象とした試験では、「シダトレン」(スギ花粉エキス舌下液)とプラセボのいずれかを、スギ花粉シーズン1年目(第1シーズン)の約9~20週間前(中央値18.9週間)から投与。スギ花粉シーズン2年目(第2シーズン)が終わるまでの最長83週間にわたって、1日1回、舌下に滴下した。参加者は2分間後に飲み込み、その後5分間はうがいと飲食を控えていた。

その結果、「シダトレン滴下群」は舌下免疫療法を開始してから迎えた第2シーズンにおいて、目と鼻の症状が有意に改善されていた。さらに、治療をやめた第3シーズンにおいても、「治療効果が持続している」と「やや治療効果が継続している」と感じた人が計69.9%もいたという。

「免疫療法は薬で(症状を)抑えているのではなくて、皆さんの体の花粉に対する反応が変わるというもの。自分の細胞自身が変わってくるし、見た目にも効果があります」。

2016年を「花粉症撲滅元年」にする

重度の花粉症ともなると、普段どおりの生活を過ごすのは困難なため、患者は相当のQOL低下を毎シーズン強いられることになる。

舌下免疫療法は数年間にわたり毎日、舌下に抗原エキスを投与しなければならないため、患者には根気が求められる。それでも、「生きているのも嫌になる」ぐらいのレベルの花粉症に悩まされている人にとっては、試す価値は十分にあると言えるはず。2016年を「花粉症撲滅元年」とするためにも、舌下免疫療法という言葉を知っておいて損はないだろう。