VAIO Phone Bizで狙うポジションはスマートフォンとPCの中間。ユーザー層としてはビジネスのほか、既存のVAIOファンを狙う

会見の最後にはVAIOで商品企画を担当する岩井剛氏が登場し、VAIO Phone Bizの機能的な特徴について説明を行った。ターゲットとしてはスマートフォンのPCの中間に当たるポジションを狙っており、これはミドルレンジでも上位版に当たるSnapdragon 617プロセッサの採用と、同プロセッサでサポートされる「Continuum for Phones」による部分が大きい。メモリも3GB搭載とこのクラスでは比較的潤沢な点も特徴だ。

ただし、Continuumは有線ではなく無線LAN(Miracast)経由という縛りがあり、手軽な反面、電波の混雑している場所など環境によっては動作が若干緩慢になるという難点がある。実際、Wi-Fi接続可能な機器が大量にある発表会場ではContinuumのデモが実行できなかった。このほか、NTTドコモの説明にもあった多くの周波数バンドへの対応、「安曇野FINISH」と呼ばれる海外生産を経て最終工程やチェックは日本国内で行う仕組みの採用など、機能面や品質面でも高い水準を保っていることが紹介された。

1年前までゼロだったものが、今では国内だけでOEMが8社と急速に立ち上がったWindows 10 Mobileの市場だが、盛り上がっているという印象がある反面、エントリー向けとミッドレンジ向けですでに飽和に近いという意見もある。NuAns NEOのようにデザイン性と大容量バッテリの2つの面で特徴を出しているデバイスもあるが、こうした中にあえて挑戦するVAIOは法人向けのメニューや販路を拡充し、自らのポジションを築こうとしている。当初のターゲットは「VAIOファンとビジネスユーザー」としているが、値段も競合との比較で最もハイエンドに位置する一方、それに相応しい出来になっていると言えるだろう。

Windows 10 Mobileでの特徴としては各種クラウドサービスのほか、Azure Active Directoryによる認証管理、Intuneによるデバイス管理など、セキュリティや管理面でのメリットが大きい プロセッサは"ミッドハイ"と呼ばれるSnapdragon 617を採用 NTTドコモのコア周波数をサポートし、CA対応も可能

高級感あるアルミ削り出しボディと安曇野FINISHによる品質管理が特徴だという

左から、VAIOで商品企画を担当する岩井剛氏、NTTドコモ取締役常務執行役員 法人ビジネス本部長の高木一裕氏、VAIO代表取締役の大田義実氏、日本マイクロソフト代表執行役社長の平野拓也氏

展示ブースでのContinuum for Phones体験コーナー。Miracastの無線経由で外部ディスプレイに接続し、フルスクリーン画面でPCのWindows 10と同じアプリ(UWP)が利用できる。写真はOutlookにスケジュールを入力しているところ

Continuum for Phonesを利用中のWindows 10 Mobileはタッチパネルを利用して、マウスカーソルを動かす「タッチパッド」として利用できるほか、写真のようにスタート画面に戻して別のアプリを同時に動作させることも可能。2つのアプリを同時に利用できるのがContinuum for Phonesの特徴となる

先日より提供の開始されたContinuum for Phones対応のScreenBeam Mini 2。外部ディスプレイを接続するためのMiracastレシーバーとなるだけでなく、キーボードやマウスの信号も中継できる点が特徴。レシーバーはY字型のUSBケーブルを取り出すことが可能で、ここに"有線"でUSBキーボードやマウスを接続できる。無線よりも動作が安定するのが特徴