世界的にLINEのような、いわゆる"コミュニケーションプラットフォーム"が、この数年の間に普及した。例えばFacebook傘下のWhatsAppは先日利用者10億人突破を発表しており、同じくFacebookが提供するMessengerも、月間利用者数が8億人を突破している。
こうしたコミュニケーションアプリは、TwitterやFacebookとは異なり、より利用者に"身近な存在"として親しまれている。クローズドなメッセージのやり取りは、対面の対話と同じであり、(範囲は制限できるものの)開放型のTwitterやFacebookは、周囲への告知や発表の場に近く、その性質は大きく異なる。
そのため、企業内や商談相手とのやり取りでもLINEやMessengerなどを利用する人が少なからず存在する。あるビジネスSNS会社の調査では、半数以上がLINEやFacebookでの繋がりに抵抗がないと回答しており、読者の中にも「まったくやり取りしたことがない」という人はあまりいないのではないだろうか。
その一方で同調査では、4割以上が繋がることに抵抗を感じているとしており、「ビジネスとプライベートを切り分けたい」というニーズが存在することがわかる。また、会社員だけの話ではなく、企業としてもビジネスに特化したコミュニケーションプラットフォームの存在は重要だ。
近年、"シャドウIT"という言葉がバズワードとなっている。これは主に、企業が社員に提供しているエンタープライズアプリケーションだけでは業務効率が改善されないため、DropboxやGoogle Driveなどに代表されるクラウドサービスを活用してビジネスを進めるというものだ。
もちろん、社員はビジネスの効率化を通して業績向上に寄与する目的で利用しているが、その反面で予期せぬ"情報漏えい"の危険性がある。この情報漏えいは、コミュニケーションプラットフォームにおいても例外ではない。もちろん、LINEやMessengerが危険と言っているわけではなく、例えば「送信先を間違えた」「プライベートの投稿を取引先に送ってしまい、取引が破談に終わった」といった、"人のミス"に起因する情報漏えいの可能性の話だ。
こうした理由から、社内のコミュニケーションプラットフォームを統一して利用しようというニーズが広まり、「ビジネスSNS」というジャンルが拡大しつつある。
先述の調査を行ったWantedlyは開放型のビジネスSNSであるため、ここでの説明は省くが、TalknoteやWowTalk、米SalesforceのChatter、Chatwork、Yammerが社内クローズド型のコミュニケーションプラットフォームとして導入企業が多い。
これらのプラットフォームは、シンプルに、円滑にコミュニケーションを進められるように改良されているため、ある程度ユーザーインタフェースが似ている部分がある。例えば、YammerはFacebook"ライク"なUIであることを認めているし、WowTalkは「LINEやFacebookメッセージのような」とWebサイトに明記している。
さらに詰めて考えると、LINEやFacebookメッセージも、フィーチャーフォン時代のSMSとインタフェースは似通っており、「どこがどこを真似た」というよりも、ビジネス効率化を進める際の合言葉「よりシンプルに」を体現しようとすれば、ある程度こういうインタフェースになるのは当然の流れといえるのかもしれない。