米IBMが1月21日(現地時間)に動画ストリーミング配信サービスの米Ustream買収を発表したことが話題になっている。エンターテイメントから現地実況までライブ配信ではすでに多くのユーザーにお馴染みのサービスだが、一方でソフトバンクの全額出資子会社であるUstream Asiaが今年2016年2月からの事業撤退を発表するなど、その今後の動向に注目が集まっていたところだ。IBMのUstream買収の狙いはどこにあるのか、同社の目指す方向性も探ってみたい。
一般向け配信サービスに苦戦か
「IBMがUstreamと買収交渉」というタイトルで同件を1月20日に最初に報じたのはFortuneだった。Fortuneによれば、複数の情報筋の話としてIBMがUstreamの1億3000万ドルでの買収を提案しており、同社のクラウド事業の一部に組み込む計画なのだという。
Ustreamは2011年に最新の投資ラウンドを経て5000万ドル程度の規模まで資産価値を上げたと指摘される一方、IBMによる買収のタイミングではまだ非上場であったため、21日に正式発表が行われた段階でも買収金額の詳細は公表されていない。なお、1億3000万ドルという買収金額は、21日の正式発表で同件を報じたWall Street Journalによっても関係者の話として語られている。
前述のように、Ustreamは2007年にベータ版サービスを開始して以来、インターネット経由でのライブストリーミング配信の先駆けとして知名度を飛躍的に高めた一方で、コンシューマ向けサービスとしてはYouTubeやTwitchにプロモーションなどの面で苦戦しており、日本国内でもニコ生などのサービスに主席の座を譲っている感がある。こうした背景もあり、広告を絡めた一般向けの配信サービスとしてはやや厳しいなかでのIBMによる買収という見解もある。だが、近年では今回のIBMをはじめとしたベンダーとの連携を深めており、動画配信プラットフォームそのものの強化を行っていたように思える。