本ページでは、ジャパンネット銀行で外貨預金を担当する曽根氏に、外貨預金をする際に着目すべき点について、お伺いした内容を紹介する。

ジャパンネット銀行 市場商品事業部 市場商品企画グループ兼市場商品推進グループ 部長代理の曽根聖氏

――ドルの調達ニーズが高まる状況の中、外貨預金は個人投資家にとってどうなんでしょうか。通貨によっても違うと思いますが。

曽根 : 外貨の調達のニーズが高まっているので、さまざまな銀行が外貨預金でキャンペーンをやっている中、外貨預金は伸びてきています。当行もお客様の数、投資額、残高において、伸びてきています。

こうしたキャンペーンや金利優遇が多い中、何が重要かというと、為替の水準もあるのですが、取引に係る手数料に注意していただきたいのです。一般的に、外貨預金は為替手数料が高いことが難点です。例えば、預け入れ期間1カ月で金利5%(年利率)、1通貨あたりの手数料10銭の「パターン1」と、預け入れ期間1年で金利0.5%(年利率)、1通貨あたりの5銭の「パターン2」があったとします。

預入れ期間1カ月で金利が5%のパターン1と、預け入れ1年で金利0.5%のパターン2(※預入期間中の為替レートは、変わらないことを前提にしている)

おトクに見えるのは「パターン1」の方が、金利が高額でよく見えるのですが、実質的な利率で見るとそこまで大きな差はなくなってきます。また、為替手数料込みで計算すると「パターン2」の方が利益がでています。為替レートがどう動くかということもありますが、同じ条件で比べた場合には、為替手数料が割高になってしまうこともあります。

――難しいですね。

曽根 : 手数料が高いけれども、短い期間で高金利を選ぶ「パターン1」か、長い期間で金利は低いけれども手数料も低い「パターン2」を選ぶのか。どっちがいいのかは一概には言えないのですが、外貨預金は、表面的な金利だけではなく、「実質的な利率がどれくらいになるのか」「コストはどれくらいかかるのか」を併せて考えながら、コスト試算することが重要だと思います。

――外貨預金のキャンペーンは、「何カ月物何%」などいろいろなパターンがあると思いますが、素人ではわかりにくい部分がありますね。1通貨あたり10銭というのは、高いわけですね。

曽根 : 10銭と5銭では当然5銭の方がいいわけで、表面金利にとらわれて、高い金利だけを追いかけても実は為替手数料のコストが割高となってしまったという結果にならないように気をつけてほしいと考えています。

――計算はどうやればいいのですか。

曽根 : 概略とはなりますが、まず、外貨預金に預入する予定の外貨元本金額を確認します。利息額は、この外貨元本金額に金利を掛けて算出します。ただし、金利は通常、1年間持った場合の金利が示されています。要するに、提示されている金利は、通常、1年間持っていないと実現しません。ですので、外貨定期預金1カ月ものなら、提示されている金利のざっくり12分の1。3カ月ものであれば提示されている金利の12分の3。それに外貨元本金額を掛けた結果が、満期まで持っていたときの税引き前の利息額になります。

為替手数料は、1通貨あたり10銭(0.1円)の為替手数料の場合、外貨元本金額に0.1円を掛けます。結果が、為替手数料になります。1ドル100円だった場合は、100万円持っていたら1万ドルです。1万ドル掛ける0.1円が手数料です。1000円になりますね。これが為替手数料です。

なお、当行の米ドルの為替手数料は、業界最低水準の片道1通貨あたり5銭(0.05円)です。某メガバンクは片道1通貨あたり1円だったりしますから、リーズナブルだと考えています。

――手数料が決まる仕組みはどのようなものなのでしょうか。

曽根 : 当行の手数料が低く抑えられているのは、ネット銀行であること、およびリアルタイムレートでリアルタイム取引が可能だからです。他行の場合、お客様にわかりやすいようにということかもしれませんが、外貨預金の預入をする際に、預入為替レートが出てから数秒保持されます。でも、外国為替市場はリアルタイムの世界です。瞬時にマーケットの為替レートは変動しています。この場合、どちらの方がスプレッド(※)を安く抑えられるのかというと、リアルタイムレートでのリアルタイム取引の方が抑えられるのです。

※ スプレッド : TTS(対顧客電信売相場)とTTB(対顧客電信買相場)の差

リアルタイムではなく公表レートなどで取引をしている場合は、幅を持たせてレート提示しますので、そうなると為替手数料は高くなります。

――リアルタームレートでの取引が手数料の安さにつながるわけですね。

曽根 : はい。また、リアルタイムレートの提供は、お客様がレートやチャートを見ながら円高に振れたタイミングで預入、円安で払戻といった機動的な取引も実現いただけます。

取引きしやすいプラットフォーム、水準、お客様にとって極力有利なプライスを出そうと思って頑張っているところです。

――一口に外貨預金といっても、いろいろな違いがあるわけですね。本日は勉強になりました。ありがとうございました。