40代の新社長・平野氏が就任

人事面では社長交代が今年最大のトピックだった。3月2日、日本マイクロソフトは急遽記者会見を行い、樋口泰行氏から平野拓也氏に代表取締役社長のバトンを渡すことを発表した。

樋口氏は古川享氏以来の会長職に就くにあたり、「今後はトップ営業や財界、政府といった方面で努力する」と語り、平野氏も「樋口が掲げてきた『日本に根付いて信頼される会社』という方向性を受け継ぐ」と語った。

興味深いのは日米トップの年齢である。2014年2月に米MicrosoftのCEOに就任したSatya Nadella氏は当時46歳。平野氏も記者会見時は44歳だ。米国本社のトップと日本のトップの年齢構成が似通うのは偶然だろうか。

平野氏いわく「日米のハーフだがベースは日本人」。7月1日から正式に社長に就任した

ワークスタイル変革

2015年は米Microsoftの戦略変更が日本マイクロソフトにも大きく影響を与えた。その一つが「ワークスタイル変革」だ。スマートフォンの普及によって行動や時間の制限がなくなりつつある中で、自由に働く形態を指すキーワードである。

日本マイクロソフトは2013年から社内で実践をはじめ、2015年には651法人と組んで「テレワーク週間」を開催。ITが持つ「時間と距離を超越する力」を実社会と連動させようとする試みはだ。テレワークスタイルに興味を持つ企業のトップが日本マイクロソフトを訪れて、具体的な実施スタイルの説明を受けているという。

日本マイクロソフトも品川本社1階ロビーを解放して、参加企業の作業スペースを提供していた。テレワーク週間2015のセミナーには、中学生18名も参加した

サイバーセキュリティ対策

セキュリティ分野への関与も印象的な1年だった。日本マイクロソフトは、2月18日に「マイクロソフト サイバークライムセンター 日本サテライト」を設立すると発表した。米MicrosoftのCyberCrime Centerが作成するCyber Threat Intelligence Programから、国内に対するサイバー攻撃の傾向などを分析して、情報発信を行う施設だが、具体的な行動は多様な理由から明かしていない。

さらに5月12日には米MicrosoftのWorldWide Public Sector Chief Security OfficerのJennifer Byrne氏が来日し、サーバーセキュリティ対しての関わり方を語っている。11月5日にも、米MicrosoftからDirector of Cybersecurity Policy and Strategy in the Global Security Strategyand DiplomacyのAngela Mckay氏が来日し、日本政府へのセキュリティ対策に付いて説明した。ワールドワイドレベルでセキュリティに取り組む姿勢を示した。

マイクロソフトテクノロジーセンターで行われたセキュリティ技術説明会。スピーカーはプレゼンテーション技術でも有名な同センター長の澤円氏

新SurfaceシリーズやWindows 10 Mobileデバイス

最後はハードウェア方面に注目したい。6月19日には「Surface 3」を発売し、11月12日には「Surface Pro 4」を発売した。一方、「Surface Book」の日本発売は2016年以降と時期は未定である。

11月には、Windows 10 Mobile搭載デバイスの販売が始まったが、米Microsoft OEM Device担当CVPのNick Parker氏は「(日本マイクロソフトは)パートナーとまい進する」と語り、Lumiaシリーズの日本市場投入がしばらく先になることを暗に示した。

Surfaceシリーズではお馴染みとなったSurface担当ジェネラルマネージャーのBrian Hall氏。手にしているのは「Surface Pro 4」である

このように2015年の日本マイクロソフトは、多方面でさまざまな展開を行ってきた。2016年も、我々をワクワクさせるような話題提供や新技術を期待したい。

阿久津良和(Cactus)