米国の主要HPC企業の展示
IBMはOpenPowerと、クラウドでHPC計算能力を提供するSoftLayerを前面に出した展示であった。2010年ころのIBMはPOWER7ベースのHPCサーバとかBlueGene/Qとか惚れ惚れするハードを展示していたのであるが、この頃は普通のハードメーカーと変わらない展示になってしまった。
IBMと並ぶ主要スパコンメーカーであるCRAYはフラグシップマシンの「XC40」と、ビッグデータ用の「CS-Storm」などを展示していた。
そして、XC40の展示の中に次のボードが置かれていた。説明は無いのであるが、第2世代のXeon Phiである「Knights Landing(KNL)」を4個搭載したボードであると考えられる。そして、注目されるのは、Xeon CPUが搭載されていない点である。これまではXeon PhiはGPUと同じアクセラレータで、データの出し入れなどを行うCPUが必要であったが、このボードではKNLがCPUを兼ねていて、OSの実行やMPI通信の処理などもKNLで行うという設計であると考えられる。
写真7 XC40のところに説明なしに置かれていたKnights Landingを4個搭載したボード。右下のKNLはヒートシンクが外されている。右端のヒートシンク付きのLSIはインタコネクトのAries用 |
11月1にHPから分離して発足したHewlett Packard Enterpriseは、2000平方フィートと比較的広いブースを構えていたが、展示品が少なく、閑散とした感じであった。HPC向けのハイエンドの「Apollo 8000」などの展示はなく、Moonshotサーバだけが置かれていた。
SGIは、ccNUMA技術で最大256ソケット、64TBの共通メモリを実現する「UV3000サーバ」と64ソケット、64TBの「UV300」の実機を持ち込んで展示していた。
DELLのブースもクラスタ用の薄型サーバが並んでいる程度で、あまり目立った製品の展示は見当たらなかった。内部にはシアターも有り効率的な使い方の講義なども行われていたが、残念ながら、これらを聞いている時間はなかった。
NVIDIAは期待の「Pascal GPU」の発表もなく、広いブースの空間が目立った展示であった。NVIDIAは、Developer zoneという広いスペースを設け、GPUを使うソフトの開発者がNVIDIAの専門家に質問するというコーナーを設けていた。
HPCのストレージではNo.1を誇るData Direct Networksの展示。ブース面積も最大である。今年は性能を引き上げた「SFA14 K」と「Web Object Storage」を展示していた。
Micron Technologyは技術的には、このところ面白い展示を行っている会社である。今回、目新しいのはIntelと一緒に開発した3D XPointメモリで、ウェハとパッケージを展示していた。技術的に新しい発表は無かったが、商品化は着実に進んでいることがうかがえる。
HMCは、これまでは富士通のFX100のボードや、FPGAメーカーの評価ボードを展示しており、ロジックLSIとHMCの接続は1対1のものしかなかった。しかし、HMC自体は直列に接続することができる仕様になっており、今回は、直列接続を見せるボードを展示した。
Intelは「The Future of Music」と題したシアターを設けていたが、時間が足りなかったため、ほかの展示物を中心に見ることとなった。
一応、Omni-Pathのスイッチは展示してあった。当然ではあるが、未発表のKnights Landingの展示は見かけなかった。
これまで、InfiniBandでスパコンのインタコネクトをほぼ独占してきたMellanoxのブース。IntelのOmni-Pathの挑戦で、これがどうなるのか興味のあるところである。
AMDのブース。今回のGreen500で3位となったドイツのL-CSCで採用されているS9150 GPUを展示していたが、これは昨年と同じものである。