品評会でも驚かれたオリーブ牛

一方こちらはオリーブ牛。話を伺ったのは石井牧場 石井正樹さんだ。こちらもやはり通常の牛よりも脂がさっぱりしており、柔らかい肉に仕上がっており、噛みしめると旨味が口に広がる。県内でもうどんと組み合わせたメニューを提供している店が多い。

県内ではオリーブ牛を使ったうどんなど、県産品のコラボ!? グルメを楽しめる店がたくさん(料理協力:本格手打 もり家)

高松市内の行列店「本格手打 もり家」のオリーブ牛つけうどん(温泉玉子入り)は1,200円。

もともと香川の牛は「讃岐牛」として流通していたものの、ブランドの価値という点で他の土地の牛に負けてしまうことを悔しく思っていた石井さん。なんとか香川県らしい特徴と、美味しさを両立させることができないかと考えていたところ、やはりオリーブにたどり着いた。

「次の肉の品評会からオレイン産の含有量を加味されるという話を聞いて、オレイン酸といえば小豆島のオリーブだと思い至ったんです」と語る石井さん。島内のオリーブオイル加工時に出る絞りかすをもらい受け、牛に食べさせるが、苦くて食べてくれない。そこで干し柿のように天日干しにして甘味を増したところ、ペロリと食べるようになった。しかも品評会に出したところ、協会の会長も「何かしただろう!」とすぐに気づくほど味に変化があったそうだ。

小豆島のオリーブ

甘くておいしいのか、ふつうのえさよりも激しく食べる

石井さん「柔らかい肉、脂がしつこくない肉というのが、時代のニーズに合っていたのかもしれません。一般家庭だけでなく飲食店からも、あっさりしていてうまい、肉が悪くなりづらいと評判をいただいています」

筋を通してできあがる

ちなみに石井さん、オリーブ牛を本格的に始めるために、県内の農家を回って同意を取り付け、肉屋にも挨拶に回り、食肉連合の会長などにもオファーをとって、各所に筋を通した。更に技術もオープンにして、「オリーブ牛」を香川の財産にするよう努力をされたそうだ。

オリーブ牛をかわいがる石井さん

ついつい自分だけうまく行けばいいや、と思ってしまったり、勝手に新しいことを始めて他の人の反感を買ったりしてしまいそうなものだが、きちんと筋を通すところは、ビジネスパーソンの参考にもなりそう……。仕事のやり方まで振り返ることができる「オリーブ牛」誕生秘話だった。

香川県の新たな味覚。「オリーブ」しばりの楽しみ方で、まさにひと味違うグルメを試してみよう。

※取材協力:香川県交流推進部県産品振興課