“メガネ店”のウェアラブル端末

続いて、同社の取締役執行役員である束原俊哉氏が登壇。プレゼンの中で、メガネ型のウェアラブル端末について触れた。同社が開発中の端末は「b.g.(ビヨンドグラス)」と呼ばれるもので、12月には実機のリリースを予定する。“メガネ店”の発想を存分に取り入れた商品設計になっているという。

執行役員の束原俊哉氏は、“メガネ店”の発送を取り入れたウェアラブル端末について紹介した

中国製の安価な製品が出回るようになったメガネ市場。国内の生産拠点を中国に移したメーカーも存在する。こうした背景から、生産が盛んな福井県鯖江市の業者の間にも、危機感が募っているという。そこでメガネスーパーでは「b.g.」の開発に着手した。束原氏は「メガネ製造のノウハウを活用できる余地が十二分にある。メガネ型の新しい商品を開発することは、メガネ産業にとっても良いこと。市場にはすでにグーグルグラスなどが出ているが、きっちり成功した事例はまだない。そこでメガネ店としての経験をもとに、なにかできるのではないかと考えた」と話した。

新製品は、ノンシースルーの映像が両眼で確認できる。束原氏は「ノンシースルーと両眼視の組み合わせは、現段階ではオンリーワンの存在」と説明する。両眼型は、片眼型と比較すると眼の負担も軽いという。また、かけ心地にもこだわった。「前後・左右のバランスが大切。長時間使えないものは実用に耐えない」と同氏。見え方とかけ心地を重視するあたり、“メガネ店”ならではと言えるだろう。このほか長時間利用や、磁石を活用した簡易着脱なども実現した。

新製品は「ノンシースルーの映像」が「両眼」で確認できる仕様。メガネメーカーらしく、見え方とかけ心地にこだわった

当初はコンシューマ向けを想定していたが、カメラを搭載したことで個人情報との兼ね合いに配慮。その結果、ビジネス向けに提供することになった。束原氏は「BtoBにおいて、仕事の生産性を向上できる。アプリ、ソリューションといかに連携できるかが鍵」と説明する。

想定される利用シーン(左)。端末に搭載されたmini HDMI、Wi-Fi、BluetoothをTPOに応じて使い分けられるのが特徴だ

例えば物流業界で利用されれば、倉庫のピッキング作業がハンズフリーで行えるようになる。組み立てなどの作業中に指示を出すナビゲーション用途にも向いている。多言語ナビゲーション(日・中・韓)により、目の前に翻訳を表示させることも可能。美術館や博物館においては、作品に近づくとタイミングよく情報が表示されるといったiBeaconと連動した使い方も想定されている。

ちなみにメガネスーパーは、福井県のウェアラブル関連の実証実験支援として福井県が募集した平成27年ふくいe-オフィスプロジェクトの4事業者の1社に採択された。2月下旬には福井県立恐竜博物館で実証実験を開始する予定だという。

新製品は、来年1月13日から15日まで開催されるウェアラブルEXPOで披露される予定。束原氏は「b.g.により、新産業が創出できる。他業態との提携を加速させれば、大きなビジネスチャンスになる」として、将来の可能性に期待を寄せた。