近接リスニングを追求したスピーカー設計

ここで、CAS-1のセッティングについて整理しておこう。CAS-1は「Bluetoothスピーカー」という紹介のされ方も見かけるが、Bluetoothを搭載しているのはセンターユニットのみであり、バッテリーも内蔵していない。よって、センターユニットにはACアダプタや左右のスピーカーを有線接続する必要があり、完全なワイヤレス利用はできない。

左右のスピーカーとACアダプタをつなげた様子。フルワイヤレスでは使えない。PCとつなげる場合は、さらにUSBケーブルの接続が必要だ。スピーカーケーブルはクセがつきにくい「ゆる巻き」仕様

また、リスニングポジションによって、けっこう繊細に音質が変わるように感じた。机の上のCAS-1と普段座って聴く位置を最適にセッティングしたら、その後はあまり動かしたくない。気軽に部屋の中で音楽をかけるというよりは、きちんと定位置に座って「よし、聴くぞ!」と能動的に音楽を聴き込むのがCAS-1との正しい付き合い方であると思う。

バスレフポートを底面に配した設計。スピーカーの下に設置する鉄板が標準付属するという心意気に惚れてしまう

そんなCAS-1の性格を表しているのが、スピーカー底面のダクトと5mm厚の鉄製スピーカーベース、スピーカーに8度の仰角をつける真鍮製のスパイクだ。こうした小物の一つひとつにこだわり抜くあたり、ソニーファンにはたまらないところだろう。

とくに鉄製スピーカーベースは、机の材質や厚さに左右されることなく、物理的にスピーカーを安定させるための付属品。分厚い板の高価な机がなくても、それなりの音を聴かせてくれるのだからありがたい。

スピーカユニットは、14mmソフトドームツイーターと62mm高剛性カーボンファイバーコーンの2ウェイ仕様。再生周波数帯域は60~50,000Hzというスペックだ。

上向き用のスパイクに交換すると上方8度の角度がつく。近いポジションで聴くときは、これがあるのとないのとでは音質が段違い

スパイクは真鍮製。手回しで付け外しが可能だ。時折磨いてきれいに使いたくなる

スピーカーベースは5mm厚の鉄板。実測で520g強の重さだ。接地面には滑り止めのゴムが5カ所に