ハコベルの登録ドライバーの声

実際、利用する事業者の現状はどうなのか。12月3日開催の発表会で、ハコベルの登録ドライバーである所沢ヤナイ運送の矢内武代表が登壇、同社の現状を話した。

同氏によると、朝夕に決まった仕事があり、昼に空き時間が生じていたという。同氏はその空き時間を利用し、ハコベルからの仕事を1日に1、2件請け負った結果、売上はサービス利用以前に比べて25%ほど増えたと話す。さらには、ハコベルの仕事だけでもやっていける可能性もあるとの見通しを示した。

トラック物流に大きな波紋?

この事例は個別の事情かもしれない。多くの運送会社に合致するとは限らないが、トラック物流の現状からすると、面白い取り組みになりそうだ。

社団法人全日本トラック協会が2011年に公表した「トラック輸送の実態に関する調査 調査報告書」によると、運送原価を無視した受注の有無について、「頻繁にある」「時々ある」とした事業者は5割弱となっている。その理由として「取引先との関係維持を図るためやむを得ないから」との回答が最も多く約8割に上っている。

運送原価を無視した受注の理由について 出典:社団法人全日本トラック協会「トラック輸送の実態に関する調査 調査報告書」

そのように回答する運送会社の規模について、「中小規模のところが多い」(同協会の広報担当者)とし、運送会社の懐事情の苦しさが伝わってくる。

ハコベルがそうした事業者を救う手立てになるかはわからないが、彼らにとっての新たな選択肢となる可能性にはなりそうだ。サービスが本格スタートして間もないハコベル。運送業界にどれだけ大きな波紋を呼べるか。それはハコベル自体の成長が示していくことになりそうだ。