日本に新たなシェアリングエコノミーが誕生した。ラクスルは3日、クローズドβ版として提供してきた運送サービス「ハコベル」の正式運用を開始した。運送トラックの非稼働時間をネットを通じて活用するサービスで、運送業界に波紋を呼ぶビジネスになるかもしれない。

ハコベルは、パソコンやスマホアプリを通じて、手軽に利用できるチャーター便形式の運送サービス。一言で言えば、「ライドシェアサービス『Uber』の物流版」(ラクスルの松本恭攝代表)だ。Uberは移動希望者とドライバーをマッチングするが、ハコベルは物の移送希望者と運送会社をマッチングする。

発表会でUber物流版と表現するラクスルの松本恭攝代表

ハコベルでは、依頼者が集荷・場所などの必要な情報を入力・予約すると、ハコベルに登録したドライバーとマッチングを行う。マッチしたドライバーのもとにスマートフォンで連絡がいき、運送可能なドライバーは、電話で依頼者に予約を確認。注文が確定すれば、ドライバーが依頼者のもとに駆けつけ、荷物を運送する。利用後は、依頼者がドライバーを評価することができ、優良なドライバーのみのサービス提供も可能となるという。

ハコベルサービスサイト

届け先は日本全国可能。集荷対応エリアは東京、神奈川、埼玉、千葉、福岡に限られるが、順次拡大していく予定だ。荷物は、軽トラック、軽ワゴンに積載できる大きさ。12月中には2トントラックでの運送を開始する。料金は、チャーター便のため、4,500円~(10km圏内)と割高となるが、それでも、一般のチャーター便よりも安いという。

安さの秘密

安さの秘密。それは、運送会社の"非稼働時間"を有効活用したことにある。担当するのは、ハコベル専属ではなく、複数の荷主の仕事を請け負う運送会社。運送会社は従来からの仕事をこなしつつ、仕事がないスキマ時間で、ハコベルからの仕事を請け負うこともできる。仕事を請けてもいいし、断ってもよい。運送会社にとって、プラスアルファの収益源としてみてもらうことで、納得した会社が仕事を請ける仕組みだ。

この考え方のもとに、利用者は安く利用でき、ハコベルはマッチングによる手数料を得る、運送会社は無駄な時間をなくせるという、三方がメリットを感じられるビジネスモデルとなっている。