――先ほどのご自身に"怒り"があったというのは具体的には?
狂気的なあやかに、ついていくことができていない自分がもどかしくて、悔しくて……その中で現場には至るところにカメラが仕込んであって、常に監視されているような雰囲気に飲み込まれていたような気がします。こんな経験も初めてのことでした。
――ブログでも「一生忘れられない現場」と書いてありましたね。
あやかは、悩みながら一生懸命考えた役でした。今までは学生の役とか等身大の役が多かったので、そこまで深く考えることもなかったんだとあらためて感じました。
――冷酷な一面もあったあやかですが、「意志の強さ」「こだわり」も演じる上で大切な要素だったと思います。高月さんが普段こだわっていることは何ですか。
緊張してしまいそうな日は、絶対にコンタクトをして行きません(笑)。オーディションの時でも本当に緊張してしまうので裸眼で行っています。
――ちなみに今日は……?
裸眼です。すみません(笑)。
――そうだったんですか(笑)。
お顔は見えているので、大丈夫です(笑)。
――その方法はいつから?
目が悪くなりはじめてからなので、随分前です。いつも緊張してしまう私にとってはとても便利だと思いますが、皆さんの顔がのっぺらぼうになってしまうんです(笑)。
――まさか! 今回の作品は……?
大丈夫です。全部、コンタクトしていました(笑)。やっぱり、心理戦の映画なので相手の目や表情を確認しながら演技をしないといけませんので。
――昨年のブログでは、「人狼ゲームしてて、人狼になったとたん手が震えはじめた」(2014年12月1日付)とありました。まるで今回の役柄と真逆で(笑)。
ドラマの撮影の合間に人狼ゲームをやる機会があって、その時に人狼を引いてしまって……緊張で体が震えました(笑)。でも、すごく頭を使うゲームなので楽しかったです。その映画に私が出ることになるなんて……ビックリですね。
――今年の誕生日には「17歳は色々な事がありました。楽しいこともあったし沢山、葛藤したことも」(2015年8月10日付)とありました。
楽しかったのは、「学校」でした。17歳は、友だちとたくさん話すことができた年だったと思います。たくさん学校に行くことができたので友だちもたくさんできて、いろいろなところにも遊びに行って……。鎌倉とかディズニーランドとか振り返ると楽しいことばかりです。青春でした。
――その一方での「葛藤」は?
やっぱり、今回のあやかという役が私にとっての一番の葛藤だった気がします。まず、台本を読んでいて、キャラクターを全く掴むことができなくて。心の中で何を思っているのかと……。本番直前まで、あやかになれているのか分からなくなるくらい不安で、毎日台本を読みながら葛藤していました。
――そのつかむことができない感じが、不気味な役柄の雰囲気につながっているような気がします。
監督も、「この作品に限らず、本人の不安が出ていると良い味を出す時もある」と同じようなことをおっしゃっていました。
――そんな高月さんにとっての理想像が「百戦錬磨の女優」と聞きました。力強く明確なイメージですね。
実は「百戦錬磨」という言葉を覚えた時に、使いたかったというのもあって(笑)。でも、「どんな困難にも立ち向かう無限の人」のような印象を受けて、とても魅力的な言葉だと感じました。これからは、どんなことでも地に足をつけて取り組んでいきたいです。求められれば、どんなことでも。
■プロフィール
高月彩良(たかつき・さら)
1997年8月10日生まれ。神奈川県出身。2008年にネットドラマ『TSC東京ガール』で女優デビューを飾り、スタジオジブリ作品『思い出のマーニー』の主演(声優・佐々木杏奈役)で注目を集める。これまで、『GTO』(12年・フジ系)、『地獄先生ぬ~べ~』(14年・日本テレビ系)、『五つ星ツーリスト ~最高の旅、ご案内します!!~』(15年・日本テレビ系)のドラマ、『男子高校生の日常』(13年)、『僕は友達が少ない』(14年)、『スレイヤーズ・クロニクル』(15年)などの映画に出演。2016年2月27日には、映画『黒崎くんの言いなりなんてならない』の公開を控えている。
(C)2015 川上亮/AMG出版・「人狼ゲーム クレイジーフォックス」製作委員会