――遙と真琴のキャストは、TVアニメ『Free!』から続投となっています。中学生というと変声期にもあたり微妙な年代ですが、メインキャラクターは皆中学1年生で、成人の男性声優さんが演じるというのはかなり挑戦的な試みにも見えます。キャスト続投の狙いは?
先ほども申し上げたことと少し重なるのですが、ファンの方が抱いているTVシリーズの印象は、キャラクターの性格だけでなく、キャストの声や演技によるところも多分にあるのだろうな、というのが大きな理由です。
もちろん、音響のスタッフたちとキャストの方を変えるべきか、そのままにすべきかということは議論しました。確かにチャレンジングな面はあるのですが、やはり『Free!』と同じキャストの方にお願いしたい、という結論になりました。
――その結論に至った理由など、もう少しお伺いできますか。
ありがたいことに、遙も真琴も、『Free!』シリーズを通じてとても人気のあるキャラクターです。例えば主人公の遙に関して言えば、島﨑信長さんが演じてくださった声やお芝居というものが、その人気の理由の大きな要素と感じています。
島﨑さんの演じた「遙の声」を含めて、「遙が好き」と思っていただけている。そして、鈴木達央さんの演技を含め、「真琴が好き」と言っていただけていると思うんです。そうしたファンの皆様の思いを大切に拾い上げる上で、このキャスティングには大きな意味があるだろうと考えました。
ここまでファンの皆様の思いに…という言い方をしてきましたが、これは僕個人の思いでもあります。ぜひ島﨑さん、鈴木さん、そして松岡凛役の宮野真守さんに演じていただきたいと思い、こうした決断をしました。
――アフレコは順調でしたか?
はい、順調でした。というのも、僕よりもキャストの皆様や音響監督の方が、『Free!』という作品とつきあっている時間ははるかに長いので、僕があれこれ言うより、皆様が非常に深くキャラクターを理解されています。
キャラクターの年齢が中学生になったということを含めて、まったく問題ない、素晴らしい演技をしていただけました。僕はもう、見ているだけ、という感覚でした。