旅行でLCCを使用する際に気付くのは、男性客室乗務員の多さ。客室乗務員=女性という従来のイメージも崩れ、他の職業と同じように男女関係なく仕事に就くようになってきているのではないだろうか。そこで今回は、実際に客室乗務員として働く男性に話を伺った。取材に応じてくれたのは、ジェットスター・ジャパン 客室サービス本部 客室接遇マネージャー 大塚直純さん。
高校卒業後アメリカの大学で舞台芸術を専攻していた大塚さんは、卒業後一度、演劇の道へ進む。しかし、小さい時から好きだった飛行機の仕事に憧れの客室乗務員に。その後転職し芸能プロダクションの営業職も務めたが、また空の仕事に戻りたいと思い就職先を探していたところ、2012年7月のジェットスター・ジャパン就航のタイミングで現職に就くことができたそうだ。
欧米では男性客室乗務員も多い
――「航空業界に関わりたい」と思った時に、いろいろな関わり方があると思いますが、客室乗務員を目指したのはどういった理由だったのでしょうか
ジェットスター・ジャパン 客室サービス本部 客室接遇マネージャー 大塚直純さん |
アメリカに留学していたので、「英語を活かしたい」という思いがありました。元々人を楽しませたい、おもてなしをしたいと思ったときに、航空業界の仕事の中であてはまるのは客室乗務員でした。最前線で直接お客様に関わるという意味で、演劇ともつながるところがあります。
――女性のイメージが強いと思いますが、抵抗はありませんでしたか?
欧米では、男性乗務員もすごく多いんですよね。ジェットスターもオーストラリアの資本が入っていますが、あちらも客室乗務員の3~4割が男性です。ただ日本では若い女性の仕事というイメージはあると思います。もし留学していなかったら、男性でも客室乗務員になれるというイメージは持っていなかったかもしれないですね。
――他の国では普通なんですね。お客様からびっくりされたりすることもありますか
「男性って本当にいらっしゃるんですね」「初めて見ました」などと、実際に声をかけていただくことはあります(笑)。たまに「男性が乗っていて安心感がありました」とお手紙をもらうこともあります。飛行機が怖いと思っているような人に、落ち着きましたと言っていただけるのは嬉しいです。
フラットな人間関係が築ける
――今、どれくらい男性クルーがいらっしゃるんでしょうか
ジェットスター・ジャパンでは、現在約300名のキャビンクルー(客室乗務員)のうち、55名が男性です。計算すると、6人に1人になりますね。同じフライトに何人も男性クルーが集まることはめったにないんですが、フライトは違っても入社時の同期の仲が続いてます。同じジムに通ったり、他部署を含めた社内の有志で野球部や登山部などをつくっている人たちもいますよ。
――女子が多いクラスの男子みたいに、肩身がせまいのでは!? と想像してしまいますが、実際の雰囲気は
うまくとけこんでいると思います(笑)。入社訓練も男女混合ですし、休みの日でもクルー仲間と食事に行くこともあります。男性でキャビンクルーになる人って、もともとお客様の接遇、おもてなしごころがあり、ホスピタリティマインドが求められる現場だとわかって入社しているので、柔らかい感じの方が多いのではないかと思います。がっつり体育会系で周りの女性と雰囲気が違うというより、自然ととけこめるやわらかさのある人が多くて、仲良く働いていますよ。
――逆に、がっつり体育会系な会社はむり! という人、フラットな人間関係を望む人が多いのでしょうか?
そういう人もいるように思いますし、確かに合っていると思いますね。キャビンクルーはなにかしら海外経験のある人も多いので、性差を過剰に意識していないスタンスの人が多いように思います。「みんな仲間だし、楽しくやろうよ」みたいな。