フラッグシップの「iPhone 7」はどうなる?
iPhone 6sの次にあたる「iPhone 7」に関する情報は、現在なお少ない。ただ、おそらく「次世代SoCのA10を搭載」「4.7インチと5.5インチの構成はほぼそのまま維持」という2点で大きな変化はないと予想されている。
「A10」がどのようなプロセッサになるのかは不明だが、GPU機能が大幅強化されたのが「A9」の特徴だったとすれば、A10では「特定処理に特化した機能追加」が特徴としてみられると推測している。最近、GoogleがAndroid端末向けに独自のSoC開発を進めているという噂が出たが、Appleもまた似たような方向性を目指していると考えている。
iPhoneを製造するのはAppleだけなので、Androidにあるような「プラットフォーム断片化によるソフトウェア開発の難しさ」を気にする必要はなく、むしろ「(特定機能強化による)差別化」の部分が重要だと考える。具体的にはカメラの映像処理やユーザーインターフェイスまわりの機能強化などだが、単純なプロセッサパワー強化でベンチマークスコアを上げるよりも、ユーザー体験全体を変化させる方向性をAppleは選択するのではないだろうか。
チップまわりという話では、ネットワーク性能の強化がまず確実に行われる。現行のiPhone 6sではLTE Cat 6の下り最大300Mbpsをサポートしているが、iPhone 7の世代ではCat 9~10の下り最大450Mbpsがサポートされる可能性が高い。現在iPhoneにモデムチップを供給しているQualcommに加え、Intelのモデムチップも採用してデュアルソース化を進めるという噂が出ているが、少なくともネットワークの技術世代が更新されるのは噂に関係なく、ほぼ確実だと考えられる。
「iPhone 7ではディスプレイに有機EL(OLED)が採用される」というのも、たびたび聞かれる噂だ。だが、以前のレポート記事でも紹介したように、現状のサプライヤのOLED供給体制でiPhoneの2億台需要を満たすのはほぼ不可能に近く、現実味が非常に薄い。2018年に切り替えるという噂も出ているが、筆者の推測でいえば「OLEDを推進しているグループが観測気球的に流した情報」である可能性も高いと考えている。3年先の話であれば、Appleが次のディスプレイ技術を模索し始めていても何も不思議ではなく、「OLEDはあくまでその候補の1つ」くらいの位置付けで考えておいたほうがいいかもしれない。
筆者個人的には、ハードウェア技術もさることながら、どちらかといえば「iOS 10」に注目したいところだ。おそらく、前述A10にもあるような改良はソフトウェア部分に変化が現れやすく、iOS新バージョンの噂が登場し始める来年2016年春ごろの動向に注目したい。次期iOSではApple Payに使われている「NFCアンテナとセキュアエレメント(SE)の開放」やサードパーティ向けSDKの提供も期待されており、このあたりの事情は日本でのApple Payサービスインにも直結している。このあたりに留意しつつ、ぜひ次期iPhoneとiOSの動向に注目してほしい。