――そのほか、食べ物の感想を伝える"食レポ"のような技術も求められますよね。「パクチーポテトチップス」(11月7日放送回)の感想は秀逸でした。
えっ! 私、何て言いました?
――新川さんはパクチーが苦手なんですよね? 私も得意ではないんですが、「ポテトチップスが好きだからちょうどいい」とおっしゃってて、ちょっと食べてみたいと思ってしまいました(笑)。
本当ですか!? 覚えていませんでしたが、われながら感心してしまいますね(笑)。食べ物の感想はその場で素直に出た言葉です。その日に食べる物を事前に聞かされるぐらいなので、食べた時はできるだけ"本当のこと"を言おうと心掛けています。「おいしい」や「おいしくない」とかではなくて、どんな味なのかをきちんと伝えたいなと思っています。
――放送開始前には「自分らしさを出していきたい」とおっしゃっていましたが、今では十分「自分らしさ」は出ているのではと感じます。新川さんにとっての「自分らしさ」とは?
緊張することによって飾ってしまったりすることが、今の私にはまだあるような気がしています。ただの「良い子ちゃん」だけでは、見てくださっている方には面白くないんじゃないかなと思うので、「ありきたりだよね」「普通だよね」じゃないくて、「そういう考えもあるんだ」とか中心から外れたところの自分も出していきたいです。きっと皆さんも持っているところだと思いますが、そうなることによって反対や批判が怖かったり。オール3ではなくて、あるところでは1でも別のところでは5を出せるような、そんな自分でいたいと思っています。
――そう考えるようになったのは、いつからですか。例えば子どものころとか。
「よそはよそ、うちはうち」という考えの家庭で育ちました。「あの子が持ってるから」という理由ではものを買ってくれることはありませんでしたが、誰も持っていなくても「これがいい」みたいな自分発信のものを意外と買ってくれたりとか。「よそはよそ、うちはうち」という考え方は、今の自分にもあるのかなと思います。
――小学生のころに今の事務所に応募したのも自らの意志と聞きました。親御さんが新川さんの考えを尊重してくれたということですね。
そうですね。うちには「子どもがやりたいと言ったことを折ってはいけない」という方針があった家系みたいで、おじいちゃん、おばあちゃんの代から父親はやりたい習い事をやらせてもらっていたそうです。私はこの業界に入る前、小学校3年生から書道を習っていたのですが、その時も「書道をやりたい」と伝えたら、すぐに「やってみなさい」と言ってくれました。今振り返ると、親が子どもにとって一番の味方になってくれていたのかなと思います。
――そして、現在のご活躍。今のところ、その教育方針はうまく言っているといえますね。
いえいえ。まんまとハマってしまいましたね(笑)。
――今年の半年を振り返ったブログでは、「悔しい思いもした」とも書いてありました。どんな悔しさがあったのでしょうか。
今年から『non-no』で専属モデルをやらせていただいて、それはすごくありがたいことなんですが、それまでの『SEVENTEEN』でもっと活躍したかったという思いがありました。そういう「戻れないこと」に関して悩むことがあって、例えばドラマでは「もっとできたのに」と思ってその日の撮影シーンを家に帰ってもう一度やってみるとすごくよくなったり。もうちょっと踏ん張れば、もっと良くなったんじゃないか。その「ちょっと」が出せなかった自分が悔しくなります。
――そうやって一度立ち止まってご自身を振り返ると。
そうですね。自分が出させてもらった雑誌や番組を見るのも大事ですが、ファッション誌では使われなかった写真こそ見た方がいいと思います。ドラマは編集されたり、音楽が入ったりした完成形ではなくて、まずは、撮影現場のモニターでチェックするようにしています。そうするとリアルな生身の自分を見て判断することができます。
――なるほど、それでは最後に。モデル、役者、タレントなど新川さんは各分野に全力で取り組んでいらっしゃるように思います。将来的にはどんな"新川優愛"になっているのでしょうか。
「こうなりたい」とか理想の将来像はまったく考えていません。私も今の自分がどこに向かっているのか分かりません。迷子です(笑)。でも、それぞれを別の道と受け止めていて、例えば番組が終わるといったんそこでセーブされて、次は別の道のセーブポイントから再スタートする。それを繰り返しているような感覚なので、どのジャンルもまだ行き止まりがあったりしますし、曲がってみたら意外と進むことができたと感じることもありますし、どんなことをするにも私にとっては迷路。でも、今はその迷路を進むのがとっても楽しいです。
■プロフィール
新川優愛(しんかわ・ゆあ)
1993年12月28日生まれ。埼玉県出身。小学6年より芝居の勉強をはじめ、2008年にドラマ出演。以降、数々のドラマ・映画・舞台など多方面で活躍中。2010年7月に「ミスマガジン2010」でグランプリを受賞。2011年9月から2015年5月までは『SEVENTEEN』(集英社)、2015年6月からは『non-no』(集英社)の専属モデルを務める。昨年から今年にかけて、『夜のせんせい』(TBS系)、『水球ヤンキース』(フジテレビ系)、『銭の戦争』(フジテレビ系)、『リスクの神様』(フジテレビ系)、『恋仲』(フジテレビ系)、『青春探偵ハルヤ~大人の悪を許さない!』(日本テレビ系)などのドラマに立て続けに起用されるなど、女優としての活躍も著しい。