5Gを支える要素技術その1・2

ここまで5G、5Gと連呼してきたが、実はまだ3GにおけるCDMAや4GにおけるLTEといったような、「5G」に特徴的な通信技術規格は具体的に存在していない。これまでドコモが折りに触れて紹介してきた、非常に高い周波数帯の「ミリ波」の利用や、特定端末に電波を集中させる「ビームフォーミング」、数十から数百ものアンテナを使った「マッシブMIMO」、高度化C-RANで行われているようなマイクロセルの活用、TDD方式の利用、信号波形の最適化などの技術もすべて、5Gを構成する技術要素にすぎない。

ドコモはこれまでに5G関連として8つの技術を公開している

今回の展示では、実際にドコモが共同開発している13社との実験結果が展示されていた。その中から代表的な技術として、Wi-Fiの世界でも高速化の用語として登場してきた「マッシブ-MIMO」「ミリ波」「ビームフォーミング」、それに近々策定される規格として「LTE-LAA」について取り上げてみよう。

  • 超高密度分散アンテナ技術

高いトラフィックが発生するエリアに小型の基地局(分散アンテナユニット)を密に配置し、エリア内の容量を増加させる技術。干渉の影響を緩和するため、アンテナ同士の協調制御や柔軟な構成に対する最適化がポイントとなる。3GHz~6GHzでの適用を想定している。アンテナの制御によっては特定の場所だけ通信品質をよくしたり、通信品質のいい場所を動的に移動させ変化させるダイナミック仮装セル制御も検討されているとのことだった。

電波暗室の中に4つのアンテナを設置し、うち1つはレール上を動かしながら計測している

この実験では4つの端末で同時にアクセスした場合、協調制御を行うと合計で約9.3Gbpsのデータ伝送に成功している(中央上)。一方、協調制御を行わない場合(右上)は2Gbps程度に収まっている

  • 超多素子アンテナ技術「マッシブ-MIMO」

現在は1つの基地局につきアンテナが最大で8本程度だが、これを数十以上束ねて運用するのがマッシブ-MIMO。ユーザーだけでなくIoTでも5Gを使う時代になれば、現在よりも数倍以上の容量が必要になるが、これに対応するための技術だ。

マッシブ-MIMOに非線形プリコーディングを適用することで、さらに周波数利用の高効率化を達成。来年から日本での実証実験も開始するとのこと。このほか、NECが5GHz帯を使ったマッシブ-MIMOの実験を行っている。

ファーウェイと共同で6GHz以下の周波数を用い、同時に24ユーザーへストリームを配信する実験に成功したことを紹介している