coconalaのターゲット
同社のサービスは一見すると、従来からある業務の外注のようにも見えてしまう。しかし、それでは本質を見誤ることになるようだ。本質を読み解くには、同社が狙うターゲットを見定める必要がある。
coconalaのターゲットは、個人やスモールビジネスを展開する人たち。「外注は、誰にどんなものを発注したらいいのか、やるべき要件、予算などが明確に決まっているが、個人やスモールビジネスの運営者は、仮に、ホームページに掲載予定の記事の執筆を依頼したいと、coconalaを利用しても、『○○のような記事が欲しいんですけど、どうしたらよいですか』という相談になってしまう」(南章行代表)という。
この相談が手軽にできるのが、coconalaの強みだ。確かに、「500円であれば、とりあえず、専門家に助言をもらおう」という気になるだろう。"とりあえず相談したい"というニーズをうまく汲み取っているのだ。
"相談"が生み出す戦略
この"相談"というニーズは、coconalaの今後の戦略とも強く結びつく。たとえば、占いサービスに利用においても、本質は「離婚したい、もしくは結婚したい」といった気持ちが見えてくるという。利用者の願望に一歩踏み込むことで、新たなビジネス展開ができると見込む。
"離婚"を例にあげれば、サイト内に法律相談への導線をつくることで、利用者を送客が可能だ。結婚であれば、結婚式場への導線がつくれる。送客可能な分野は、翻訳サービス、不動産売買、学習塾、結婚式場、生命保険など多岐に渡る。この導線に目を付け、同社サイト内へ楽天のような出店形式、もしくは、広告掲載などで大きく収益を上げる狙いだ。
現段階において、最も有望なのが、先ほど挙げた法律相談。法律相談に関するニーズが高い一方で、顧客獲得に苦しんでいるという弁護士との架け橋になることを目指す。来年初頭をメドに法律相談カテゴリーの運営も開始するという。
大きな成長へ
同社は構想中の戦略を実現するために、ジャフコらが運営管理する投資事業組合、VOYAGE VENTURESより、総額5億4000万円の資金調達も完了したと24日に発表した。これまで口コミで拡大してきたcoconalaの認知度拡大のために、オンライン広告などのマーケティング投資などを本格化させるという。
目指すは、2018年8月期での売上30億、登録ユーザー数100万人、そして、同年における株式の上場だ。目下、登録ユーザー数が20万人、11月の月次売上をベースに計算しても年商は6億ほど。目標と現実には大きな隔たりがある。
しかし、裏を返せば、"相談"を軸にした無形のシェアリングサービスへの期待のあらわれにほかならない。同社が大きな成長を遂げれば、近年広まるシェアリングビジネスのなかでも、無形のサービスが大きく注目されることになるだろう。