売り場は書店に近い
HMV&BOOKS TOKYOの売り場を実際に見ていくと、旧HMVの復活をイメージすると面くらうかもしれない。店内の印象は、CDショップではなく、書店に近いからだ。
それは商材の構成比からもわかる。「HMV&BOOKS TOKYO」では、書籍が6割、CD・DVDが3割、雑貨・グッズが1割。CDショップをイメージすると、主従が逆転しているように見えてしまう。
その理由としては、音楽からではリーチできない商材でも、書籍ならリーチしやすいから。たとえば、人工知能を扱ったいくつかの書籍の横に、「ターミネーター」のDVDが置かれる。しかし、人工知能に関連したCDはない。音楽よりも書籍のほうが商材のハブになりやすいと判断する。店名に"BOOKS"と入るのは、売り場を見れば納得できる。
新しいエンタメとの出会い
HMV&BOOKS TOKYOが目指すのは、商品との出会いだけではない。"新しいエンタメとの出会い"も店舗コンセプトとなる。
店内には、各階ごとに50人、100人、150~200人収容のイベントスペースがあり、作家やアーティストのトークショー、セミナー、ミニライブなどが毎日行われる。その数は年間で1000回を予定しているという。
さらに、店内には、InterFMサテライトスタジオも併設され、公開生放送やイベントと連動した公開録音を行うという。
HMV&BOOKS TOKYOが握る未来
より多くの人に来てもらい、集客態勢も整えたHMV&BOOKS TOKYO。書籍を軸にし、商品を複合的に取扱い、数多くのイベントも開催するエンタメ複合店となる。こうした新業態は消費者の関心を引けるのか。同社は2018年までに同種の店舗を10に増やす計画だが、その成否は同店が握ることになる。
さらには、苦戦の続く出版業界・音楽業界にとっても、注目の的になるだろう。もしかしたら、これらの業界にとっての業績回復のヒントになるのかもしれない。