木製振動板は、音の伝播速度の高さや定在波の発生しにくさ、自然な減衰特性が持ち味とされており、不要な振動からくるノイズを抑える効果がある。同社は2005年ごろにヘッドホン向け木製振動板の開発に着手していたが、軽量化の難しさから開発が難航し、一旦中止となっていた。しかし、「HA-FX1100」などでイヤホン用の木製振動板の開発に成功したことから、再びヘッドホン用振動板の開発を再開したという。

ヘッドホン用のウッドドーム振動板開発にあたっては、木材のカットに使用する刃物や、切削部の湿らせ方(木材は切削前に湿らせる必要がある)など、細かい工程も研究。フィルム振動板には、SIGNAにも採用したPEN素材を使用している。また、新開発のハイエナジー磁気回路を採用。1テスラを超える高い磁束密度を実現するほか、リニアリティの良いプレート形状を実現させることで、ドライバーの駆動力を向上させている。

ネオジウムマグネットのサイズを大型化し、全体の磁束を向上。さらに部品を厚くし、ボイスコイル付近に磁束を集中させることで、1テスラを超える磁束密度を実現している

「WOOD 01」「WOOD 02」に使用したカバ材シート(左)。イヤホンに使用したカバ材シート(右)をさらに薄型化している

ハウジングには、数十層の無垢材を一体化した積層強化材を使用。積層強化材は水分や温度による特性変化が少なく、ポータブル製品向きであるとのこと

また、ドライバーユニットに異種材料を組み合わせることで振動を抑制。ウッドパーツの選定にも試行錯誤を繰り返し、材質や形状を検討したうえで最適な組み合わせを採り入れた。

「WOOD 01」に使用したウッドパーツ

ウッドパーツの候補となった素材

家入レオさん登場

発表会の終盤には、「CLASS-S」のタイアップアーティストを務める家入レオさんが登場。実際にWOODシリーズを試聴した感想について、「目を閉じているだけなのにその曲の情景がぱっと思い浮かぶ。ブレスの音もよく拾うので、アーティスト泣かせです」と話した。

そして、「CLASS-S」シリーズのプロモーションで使用されているヒット曲「君がくれた夏」をサプライズで生披露。家入レオさんの生歌を発表されたばかりのWOODシリーズで試聴するという、なんとも贅沢な時間を堪能させてもらった。

家入レオさんが登場し、生歌を披露した