そんな中でスマホとも関連し、また面白いと思わされたのは、来年3月に東京・大阪・福岡からスタートするマルチメディア放送(V-Low)「i-dio」でモビリティー専用デジタルラジオを開設する「アマネク(Amanek)」だ。V-Lowとは、地上デジタル放送への移行で空いたVHF帯を使う放送で、主にスマートフォンやカーナビといった移動体通信に使われる。

ラジオ放送は、携帯電話回線と違って一方通行ではあるが、アクセスが集中しても輻輳が起きないため、例えば災害時の緊急放送にも向く。カーテレマティクスといえば3GやLTEといった通信規格が主流だが、地域情報などは下りだけあれば十分。技術的には位置情報を使い、かなり細かく情報を提供できるようだった。なお、アマネクは放送と通信、位置情報にビッグデータを融合させて、ドライバーとクルマにとってもっと便利な情報を提供するサービスを展開するという。例えば15分後の気象情報や交通・行楽情報などを配信する計画とのことだ。

カーナビへの搭載については、既存のカーナビにはチューナーを後付けすることになるが、今のナビはチューナーの後付けをもともと考慮に入れた設計になっているので、比較的最近の機種なら問題ないとのこと。将来的にはV-Lowチューナー内蔵製品も登場するだろうという話だった。

V-Low対応カーナビの表示例。店舗情報や渋滞、天候などはV-Low経由で取得でき、位置情報を埋め込んでおけば近くに来た時に表示するといった仕掛けもできる

また、スマートフォン向けにV-Lowチューナーを内蔵し、Wi-Fiで接続できる外付けチューナーを、モニターユーザーに向けて10万台を無料で配布する予定だという。チューナーで受信したデータを「i-dio」アプリで表示する仕組みだ。さらに、チューナーを内蔵したSIMフリースマホ「i-dio Phone」も展示されていた。5インチのHD液晶とi-dio、FMラジオ、テレビの受信機能を内蔵しており、i-dioアプリも内蔵済みとのこと。価格次第ではあるが、面白い存在になる気がする。

10月15日に発表済みの「i-dio Phone」(写真右)。発売はコヴィア。Android 5.1を搭載し、CPUはクアッドコア。ドコモの3G回線(FOMA/FOMAプラス)に加えてLTEバンド1/3/19/21に対応する

スタート時の対応地域は限られているが、無料で使えることもあり、個人的にはかなり期待しているサービスだ。モニター募集が始まったら、また是非レポートしたい。