バリュークラスでもトップクラスのパフォーマンス
それでは、Trion 100の480GBモデル、960GBモデルを用いてパフォーマンスを見ていこう。今回の検証環境は以下の通り。
CPU | Intel Core i7-6700K |
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M/B | MSI Z170A GAMING 7M(Intel Z170) |
メモリ | Panram NINJA-V Q4U2400PSN-4G (DDR4-2400[DDR4-2133モード] 4GB×4) |
グラフィックス | Intel HD Graphics 530(CPU内蔵) |
OS | Windows 10 Pro 64bit |
CrystalDiskMark 5.0.2 x64の結果は、1GiB時、480GBモデルのデータで、シーケンシャルリードが554.999MB/sec、同ライトが512.286MB/secだった。ともに500MB/secを超え、ハイエンドに迫るパフォーマンスだ。また、同条件の960GBモデルのデータは、シーケンシャルリードが563.183MB/sec、同ライトが534.273MB/secだった。こちらは480GBモデルよりも若干速い。キャッシュメモリが倍量であることがパフォーマンスを向上させたものと考えられる。
4Kランダム時のパフォーマンスも、1GiB時、480GBモデルのリードが355.128MB/sec、ライトが336.973MB/sec、960GBモデルのリードが355.673MB/sec、ライトが327.780MB/secだった。こちらもリード/ライトともに300MB/secを超えている。
バリュークラスの製品で見ると、まずベンチマークのシーケンシャルリードはともかくライトでも500MB/secを超えてくるところはポイントが高い。加えて、4Kランダムリード/ライトでともに300MB/secを超えるものも高ポイントだ。これをどれも超えてきたTrion 100は、バリュークラス製品のなかでもトップクラスのパフォーマンスを持つ製品と言ってよいだろう。
一方で、データ容量を50MiB~32GiBまで変更しつつ計測したテストでは、容量ごとにパフォーマンスがバラける傾向が見られた。グラフ化してみると、480GBモデル、960GBモデルともに、書き込み容量が2GiB未満までのパフォーマンスが高く、それを超えるとややパフォーマンスが低下する傾向だ。これをどう見るかだが、普段の作業となると2GiB未満の処理が中心となるだろう。そうした意味では、普段使いのパフォーマンスにフォーカスしたチューニングと考えることができる。
IOPSでの値は、グラフのとおりで4Kランダムリードが80000IOPS台、同ライトが50000~80000IOPSといったところだ。ライト側のIOPS値が、公称値よりもやや高めとなる結果だった。
ランダムデータ書き込み時と、0Fillデータ書き込み時の違いもチェック
さて、ランダムデータ書き込み時と、0Fillデータ書き込み時の違いを見ておこう。グラフのとおり、4Kランダムリード時に、パフォーマンスに差が生じることが分かった。ただし、SandForce系のコントローラのように大幅にパフォーマンスが異なるというわけではなさそうだ。
ランダムデータ対0Fillデータの結果は、コントローラのクセが現れたと言えるようだ。比較としてOCZ Barefoot 3、Marvell 88SS9188、Silicon Motion SM2246EN、Phison PS3110-S10を搭載した製品のグラフを紹介するが、Trion 100のデータと最も似ているのはPhison PS3110-S10である。今回の東芝製コントローラチップが、Phison PS3110-S10またはこれに近いバリエーション製品をベースに開発されていると見てよさそうだ。
ATTO Disk BenchmarkやIometerでもテスト
ATTO Disk Benchmark v2.47の結果は、480GBモデル、960GBモデルともにほぼ同じ。データサイズが16KBを超えたあたりでリードが、64KBを超えたあたりでライトが500MB/secを超えてくる。ATTOでは、4K時のライトが300MB/secに届かなかったが、それでも280.723MB/secで、バリュークラスの製品としては十分に速いと言える。
Iometer v1.1.0では、960GBモデルを用いてIOPSパフォーマンスを見ていこう。ランダム4KiBでQue-Depth(QD)を可変させテストしたグラフでは、QD32時でリードが86118 IOPS、ライト時が42397 IOPSとなった。公称の90000 IOPS/64000 IOPSにはやや足りていないが、実際のテスト結果としては妥当なところだろう。
続いて、12時間ほどランダム4KiBライトを実施した際のIOPSの変化を見たグラフでは、開始当初が16199 IOPS、12時間経過時が3492 IOPSだった。ダーティ書き込みが3600 IOPSとされているので、こちらも妥当な結果と言えそうだ。ダーティ書き込み側は、およそバリュークラスの製品としては妥当なパフォーマンスと言える。