キヤノンのプレミアムコンパクトカメラの新顔として「PowerShot G5 X」が登場した。見どころは、手のひらに隠れるくらいの小型ボディに光学4.2倍ズームを搭載しつつ、同シリーズでは初めてEVF(電子ビューファインダー)を内蔵したこと。これまでとは少し雰囲気が異なる外観デザインにも注目だ。その実写レビューをお伝えしよう。
携帯性とホールド性を両立した小型軽量ボディ
キヤノン「PowerShot G」シリーズは写真にこだわる愛好家層を主なターゲットにし、ワンランク上の画質と機能、デザインを取り入れたコンパクトカメラだ。最近では、薄型ボディにチルト液晶を備えた光学4.2倍ズーム機「PowerShot G7 X」(2014年10月発売)や、600mm相当の超望遠を楽しめる光学25倍ズーム機「PowerShot G3 X」(2015年6月発売)などが好評を得ている。
今回登場した「PowerShot G5 X」は型番が示すとおり、G3 XとG7 Xの中間に位置するモデルだ。撮像素子はこれまで同様に1型・2,020万画素CMOSセンサーで、レンズにはG7 Xと同じく24~100mm相当の光学4.2倍ズームを採用。その上で、EVFやバリアングル液晶を搭載したことがG5 Xの個性となっている。
ボディは、左右のバランスが取れた端正なカメラスタイルだ。同社のEVF搭載機といえば、最近では「PowerShot SX60 HS」のように曲面を多用したデザインのものが多かったが、G5 Xでは直線的なシルエットラインを取り入れている。そのシャープな形状は、キヤノン製品としては新鮮な印象を受ける。
シャッターボタンや各種ダイヤルの付け根に配した赤いライン、表面にレザートーン塗装を施したフルブラックの仕上げ、リングやダイヤルの操作部に刻んだ綾目のローレット処理などは、これまでのPowerShot Gシリーズから継承したもの。手にしたときの質感は上々で、各部の作りもしっかりとしている。
ボディのサイズは幅112.4×高さ76.4×奥行き44.2mmで、バッテリーとメモリーカードを含めた質量は約377g。製品写真から受ける印象よりは小さくて軽い。EVFの出っ張りがあるため、胸ポケットに入れるのは厳しいが、気軽に持ち歩いても苦にならないサイズといっていい。