ドラマやアニメなど、世界中の映像コンテンツが集合する見本市「MIPCOM」(ミプコム)が、10月5日から8日まで、フランス・カンヌで開催された。テレビの新たなトレンドと番組ビジネスが発信される場となっており、実は日本発バラエティも注目されている。そんな知られざる番組取引の世界をレポートする。
ドラマバブル、Xファイルのリブート版が話題に
南フランス屈指のリゾート地・カンヌ。毎年この時期になると、番組を扱うスーツ姿のセラーやバイヤー、番組企画を持ち込むプロデューサーなど、世界100カ国、1万人以上の業界関係者が集まってくる。ドラマやバラエティ、アニメ、ドキュメンタリーの売買取引を行い、時には、世界のテレビ局を相手に数百億円単位のお金が動く商談も繰り広げる。
明日のテレビトレンドを引っ張る新作の数々が並び、映像コンテンツマーケットとしては世界最大規模だ。日本からもキー局をはじめ、アニメ制作会社などが毎年参加し、ブースを出展している。
今年のMIPCOMは"ドラマバブル"と呼べるほど、各国から新作ドラマが豊富にそろった。FOXの人気SFシリーズ『Xファイル』のリブート(再起動)版が話題を集め、オークションハウスの舞台裏を描いたソニー・ピクチャーズの新作『The Art of More』や、エミー賞&ゴールデングローブ賞コンビのポール・ジアマッティとダミアン・ルイスによる『Billions』なども注目された。
日本ではなじみがないが、北欧勢が制作するサイコスリラーものや、南米で人気のある「テレノベラ」というジャンルのメロドラマが見本市ではトレンドとして紹介され、トルコが制作するドラマもフォーカスされていた。
海外ドラマ審査員が選んだTBS『天皇の料理番』
もちろん、日本のドラマもカンヌで売り出されている。PRイベント『Jクリエイティブパーティー』では、舞妓によるパフォーマンスや、おすしなどの日本食で400人以上のMIPCOM参加者を呼び込み、日本ドラマから世界に通じる作品を選出する「MIPCOM Buyers’ Award for Japanese Drama」の授賞式などが行われた。
この賞は、北米、欧州、中東、アジアのバイヤー20人で構成される審査員がノミネート作品を視聴し、「最も買いたい日本ドラマ」を項目別に審査。最も高い総合点を獲得した作品1作品にグランプリが贈られるもので、MIPCOMの恒例企画となりつつある。
今年は、NHK『64(ロクヨン)』、日本テレビ『デスノート』、テレビ朝日『DOCTORS 3~最強の名医』、TBS『天皇の料理番』、テレビ東京『不便な便利屋』、フジテレビ『デート~恋とはどんなものかしら~』、WOWOW『ふたがしら』の7作品がノミネートされ、この中から、『天皇の料理番』が受賞。
現地に駆けつけたTBSテレビの杉山真喜人メディアビジネス局海外事業部担当部長は「TBS開局60周年を記念したドラマだ。壮大なスケールで描く実話ベースのこのドラマのテーマや価値観が、世界で共感を得ることに期待したい」と話していた。実際の取引につなげるためのきっかけ作りとして、こうしたイベントが仕掛けられている。