好きなときに、好きなだけ。"ネットの授業"のメリットは?
N高等学校は、授業配信、レポート提出もすべてネットで完結するシステムとなっている。生徒は拘束時間が短縮される分、やりたいことに時間を費やすことが可能で、各業界プロフェッショナルの講師陣によるプログラミング、文芸小説、ゲーム、アニメ、ファッション、美容など、多種多様な「課外授業」も希望に沿って選択できるという。
また、同校の授業料は、学費から「高等学校等就学支援金」を差し引くことになり、実質負担金は、3年間で29万3,912円。1単位あたり5,000円で、スクーリング代は実費負担となっている。
あの"ビリギャル"の著者も講師に
「課外授業」にも様々な種類があり、受験教育には、中経出版の全面協力のもと、オリジナルで制作した受験教材を活用。最新の大学受験動向と解説動画、講師との双方向授業を展開するという。講師には『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』の著者で坪田塾塾長の坪田信貴氏などの実力派講師陣を迎える。
ドワンゴのトップエンジニアによるプログラミング授業では、JavaScript、HTMLなどの基礎からスマホアプリなどの開発の知識、その他人工知能、ビッグデータ解析などを展開する予定。川上氏によれば、「初心者でもニコニコ動画のシステムを1からほぼ自分で作れるようになる」とのことだ。エンタテインメント創作授業では、ライトノベル作家の『キノの旅』の著者である時雨沢恵一氏や、イラストレーターのいとうのいぢ氏など、各分野の講師から制作ノウハウを学ぶことができる。
ネットだけじゃない、リアルの行事も充実
同校では、生徒全員にメールアドレス、チームコミュニケーションツールの「slack」、ソフトウェア開発プロジェクトのための共有ウェブサービス「github」のアカウントを発行予定としている。「ニコニコ超会議」が文化祭、「闘会議」で課外授業活動、ニコニコ本社を自習室として利用できるなど、niconicoが展開する各種イベントや施設への参加機会を用意している。
こういった施策の意図に関して、川上氏は「通信制高校に通っている生徒の話を聞いていると、勉強の悩み以上に大きな悩みというものが、友達ができないということ。高校生では、もちろん勉強も大事ですが、それ以上に友達をつくりたい欲求がすごく大きいわけです。事前に友達をつくって、一緒に高校生活を楽しめる。ネットの高校ならネットで友達をつくればいい。ネットだけでなくリアルでもつながる仕組みができればいいと考えています」と語った。
また地方自治体の協力のもと、日本各地に宿泊しながら職業体験ができる。農業・漁業・伝統工芸など、実際に地方での職業体験に参加することで、早期に社会で役立つスキルを身につけられる環境を用意している。
開校へ向けての動き
出願受付を開始した同校は、17日より学校説明会を開始する。さらに、11月には1日にフクラシア東京ステーション、3日に梅田阪急ビルオフィスタワー26階にて学校説明会を行う。このほか、11月以降ネットでのオープンキャンパスも毎月実施する。開校時期は2016年4月、定員は1万人を予定している。
今後の目指していきたいこととして、川上氏は「N高等学校は、ネットを使って最先端の教育システムをつくることを目標。だからこそ、高校に出た後の出口を明確に示していきたいです。大学進学や、手に職をつけてから卒業できる、そういった学校を目指していきます」と意気込みを語った。