山本氏は、前ページで挙げた3つの問題を、すべてパナソニックの「微凍結パーシャル」機能が解消してくれると説明した。微凍結パーシャルとは、冷蔵室・チルド室より低温で、冷凍室よりは高温の「冷蔵と冷凍と間の温度帯」といえる、-3℃~-1℃で食材を保存する機能。冷蔵室の最下段にある「パーシャル室」を利用する。

微凍結パーシャルでは、冷蔵室やチルド室で保存するよりも鮮度が長持ちし、冷凍保存ほど食材がかたくならないので、解凍の手間もいらない。微凍結の状態を生かした調理といったメリットもある。

生肉の鮮度を7日間キープ

まず、1つめの不満点であった「長期保存時のおいしさと鮮度の低下」について。生肉を保存する場合、チルド室では2~3日しかもたないのに対し、微凍結パーシャルでは約7日間鮮度を保てる。もちろん、冷凍室の約31日という保存期間にはかなわないが、1週間分の食材をまとめ買いする家庭ならば、7日という保存期間は十分実用的だ。

微冷凍パーシャルの温度帯は約-3℃~-1℃と、チルドと冷凍の間くらい。カチコチには凍らないものの、チルドより長期間保存できる

細胞内に氷結晶ができにくいので、細胞のダメージが少なくおいしさキープ

一般的な冷凍室で肉を冷凍すると、細胞の中に氷結晶が生成される。細胞内に氷結晶ができると細胞が傷つきやすく、解凍時は旨味成分を含んだドリップが流出しやすい。一方でパーシャル室で保存した微凍結状態の肉は、細胞と細胞の間にある外液が凍るだけ。そのため細胞も傷つきにくく、ドリップ流出も防げておいしさもキープできる。

8月発表の新モデルから、冷気を勢いよく吹き付けて食品表面をすばやく微凍結させる「酸化ブロック冷却」を追加。微凍結状態になった表面がバリアとなり、酸素の侵入を防ぐので、油脂の酸化も抑制できる。肉なら7日、魚なら3日、買った日の鮮度をキープできるそうだ。

シャワーのように冷気が降り注ぐ「酸化ブロック冷却」のデモ機。パーシャル室上部から、冷風が吹き付けている様子がスモークで見えるようになっていた

ほしい分だけサクサク切れる

微凍結状態だと、冷蔵庫から出してすぐ包丁で切り分けることも

2つめの不満点「解凍の手間と失敗」について。微凍結状態の食品は、冷凍状態ほどかたくならない。取り出してすぐ包丁で切ったり、加熱したりといったことも可能だ。解凍作業そのものと無縁になるので、解凍ムラやドリップ流出などの失敗もなくなり、これまで解凍にかかっていた時間も短縮できる。

微凍結パーシャルであれば、肉や魚などを塊のまま保存しても、調理する分だけサクッと切り分けられるので、「解凍するのを忘れたから、今日はあの食材を使うのやめよう」と思うことも減り、いつの間にか忘れ去られてしまう「冷凍化石」の問題も解決できるはずだ。