地域全体で子どもたちを見守る
前ページの家族目線やBOCCOは、離れた場所から自宅にいる家族を見守れるサービスだ。これに対し、自宅から離れた場所にいる子どもを見守るにはどうすればいいか、一つの答えを提示しているのがottaの提供する「otta(オッタ)」だ。
ottaは、子どもたちが身に付ける防犯ブザー付き見守り端末「otta.b」と、見守る側(「見守り人」と呼ばれる)がスマートフォンにインストールしておく専用アプリ「otta」で構成される。
otta.bには端末の一つ一つにIDが振られており、ottaを導入したスマートフォンとすれちがうと、自動的に見守り人のスマートフォンを経由して、otta.bの位置情報を保護者のotta(管理者)に通知する。ottaを利用する保護者は、スマートフォンから自分の子どものotta.bがどこにいるか把握できるというわけだ。地域内にottaの見守り人が多ければ多いほど、otta.bの位置情報は細かく正確にアップされるようになる。
Wi-Fiルーター「otta Home Wi-Fi」も現在、クラウドファンディングサイト「makuake」にて先行予約を受け付けている。指定した地点にotta.bが現れたと通知する機能を持つので、このルーターを自宅に設置しておけば、子どもが帰宅したときに保護者は子どもの帰宅を確認できる。
自宅だけでなく、学校や塾、図書館、体育館などの施設、あるいはマンションエントランスにこのWi-Fiルーターを1台置いておくだけで、その施設を利用するすべての子どもたちがいつそこに到着したかわかるのだ。ottaは家庭単位ではなく、地域全体でそこに住む子どもたちを見守る仕組みであり、協力者が多ければ多いほど、見守りの穴が減り、強固なセキュリティになる。
このサービスの最も興味深い点は、子どものいない人や、すでに子どもが成人したような家庭の人でも、少ない負担で見守りに協力できるところだろう。専用アプリの「otta」には管理機能と見守り機能を備えたバージョンと、見守り機能のみのバージョンが用意されている。社名もサービス名もアプリ名も、いずれもottaなので少々わかりにくいが、見守り機能のみのバージョンには、otta.bを追跡する機能がなく、otta.bが近くに来た時に位置情報を通信する機能に限定される。純粋に子どもの見守りに協力するだけの機能というわけだ。
otta.bはottaを導入したスマートフォンとすれちがうたびに、そのスマートフォンのGPSと通信機能を拝借するが、1回の通信量は微々たるもので、500人規模とすれちがっても音楽ファイル1曲分程度のデータサイズに過ぎないとのこと。少々注意が必要なのはバッテリーの消耗がいつもより少し早くなることくらいだろう。
2015年末までに、自治体などに協力をあおいで実証実験を行っていくそうだ。仕組み上、普及すればするほど、子どもの迷子防止や治安維持に力を発揮するにちがいない。なお、otta.bの端末やアプリ自体は無料で配布され、サービス使用料は月額300円となる予定だ。