演出面にも触れておきたい。おそらく、前情報なしで本作を見ると、そのコミック的な映像に驚かされるはず。本作の原作は人気作家・西尾維新の同名小説だが、西尾作品といえば、多くの作品がアニメ化されており、中でも『<物語>シリーズ』は、2016年に劇場公開版も予定されている大ヒット作品。そのビビッドな色合いと、文字そのものを視覚的に使ったエッジの効いた独特の演出は、多くのファンを獲得するのに成功した。
本作は、そんな西尾維新ファンの既視感にも応えた、ドラマ独自の演出になっている。だが、単に奇をてらっているのではない。例えば、本作で視覚的に画面に現れる文字は、舞台となる場所や役柄の説明、また今日子の推理をさらに明確にする補足情報が記されている。つまり、視聴者は目と耳で、推理の進行を確認することができるのだ。
第1話で描かれるエピソードは原作の「初めまして、今日子さん」「紹介します、今日子さん」の2話分。どちらもドラマオリジナルのエンディングが用意されており、2つのエピソードが違和感なくつながれている。
そして最終シーンは、翌日にはすべての記憶を失う今日子と厄介の恋の始まりが示唆されて次週へ。その時に、今日子が言うセリフ「私には1日しかないから。今日という日を後悔したくないんです」は、多くの人の心を動かす、新たな"ドラマ名言"になるかもしれない。