Syn.のコアはDMPにあるとしたが、どのような将来像を描いているのだろうか。
「ビジョンは『すべてが相互につながる 「よりよい」世界を実現する』こと。ネット自体が相互に繋がっているものだし、人と物、物と情報など、まだまだ繋がれていないものがあるので、それを実現したい。例えばEC分野だとリアルとの繋がり、IoTといったキーワードが出てくるので、そこも見据えている。
Supershipになることで、ユーザー接点とデータ、送客プラットフォームが一つになれる。スケールアウトのSSPは150億impがあるけど、これを最大限に活用するためには"深さ"が大事。だからこそ、ユーザーのデータを、サービスを横断して蓄積しているDMPは大きな武器になる。
広告は"心地よさ"が大事だと思うんです。高級旅館をイメージしてもらうとわかりやすいんですが、一回行けば、5年後、6年後に訪れても自分のことを覚えていて、『◯◯新聞をお届けしますか』と気遣いしてもらえる。
普通の広告配信って、そこが『とりあえず30代男性だから、△△新聞でしょ』と、勝手に押し付けられますよね。それだとユーザーは"ウザい"と思ってしまう。これまでのパブリックDMPはクッキーだけだったけど、それは量が集まってもターゲティング精度は高まらない。行動データがしっかり集まって、活用できるようになると、人が"立体化"される。当然、個人と直接のひも付けはできませんが、『こういう行動をする人はこうするだろう』と、人ベースではないターゲティングの形になると思います」(森岡氏)
「(広告とレコメンドの違いについて)お金をいただいたコンテンツをユーザーに届けるのが広告で、コンテンツのレコメンドは、用意されている様々なコンテンツの中から、その人に最適なものを出す。違う部分はわずかであり、DMPとしてやることは変わりませんし、統合によって描ける将来像は色々あると思います」(山崎氏)
「統合して何が一番いいのかというと、より大きなサービスを作るための土台がしっかりするんですよね。山崎が話したようにコンテンツとコンテンツを繋げてやれることはたくさんありますけど、それを自社で開発しようとすると手間もコストも、そしてデータ量も足りない。Syn.によって、そこがまとめて手に入るところが大きいと思います」(古川氏)
森岡氏と山崎氏はヤフー出身で、古川氏もリクルート出身と、大企業からベンチャー界隈に飛び出した3名が一緒になったSupership。「買収されたベンチャーが一緒になると失敗することが多い」と森岡氏は前置きしたうえで、「日本で初めての完璧な成功例にしたい」とその夢を語る。個性的な役員が揃う中で、森岡氏のかじ取りにも注目が集まるだろう。