加工の手順
では、加工に移ろう。P650-Eのスピーカー端子のサイズはW54×H24mmだ。このサイズにアクリル板をカットする。また、今回使用しているターミナルの軸の太さは4mmなので、それにあわせた穴を開ける必要がある。プラスとマイナスのターミナルは、あまり近づけすぎると、ケーブルを取り付けにくくなる。しかし、間隔を広くしすぎると、P650-Eの穴に干渉してしまう。
キャビネットの穴のサイズはW34×H16mmだ。また、アクリル板をキャビネットに固定するためのネジ穴(3mm径)も必要だ。これらをまとめたのが、下の画像だ。実線はカットする部分で、破線は位置決めのために引いてある。
アクリル板に穴を開ける際に注意しなければならないのは、アクリル板専用のビット以外では、電動ドリルを使用してはいけないという点だ。一般的な木工用や金属加工用のビットを使用した場合、高速でトルクのある電動ドリルでは、アクリル板が欠けたり割れたりしてしまう可能性が高い。アクリル板専用のビットを持っていない場合は、ハンドドリルを使用するのがよい。ハンドドリルでゆっくり穴を開けていけば、何とかなることが多い。
下の写真が、カットと穴あけを終えたアクリル板だ。防振シートをアクリル板と同じサイズにカットして貼り付け、防振シートにもアクリル板と同じ位置に穴を開ける。次に、ターミナルをナットで固定すれば、スピーカー端子側は完成だ。
続いて、内部配線の加工を行う。スピーカーケーブルをかんすぴ6の内部配線と同じぐらいの長さにカットする。スピーカー端子側のYラグを圧着するには、被覆を7mm程度剥がして圧着部に通す。あとは、ペンチなどでつぶして固定すればOKだ。なお、そのまま端子板に固定すると、キャビネットの穴に干渉してしまうため、Yラグは、先端を90度曲げておく。先端を曲げたYラグをターミナルに取り付ければ、スピーカー端子側は完成だ。
次に内部配線とスピーカーを接続するファストン端子の圧着だ。写真のようにファストン端子には被覆部分を固定する部分と、芯線部分を固定する部分の2つの圧着部分がある。
まずは、被覆部分の固定だ。ファストン端子にケーブルを通した状態で圧着工具のサイズの合う場所に差し込む。この状態でグリップを握ると、被覆部分は固定される。同じように、芯線部分も圧着する。
これで内部配線は完成なので、アクリル板をキャビネットにネジ止めし、吸音材の隙間から内部配線のケーブルを引き出してスピーカーに接続する。元通り、スピーカーをキャビネットに固定すれば完成だ。
手順を書いていくと、かなり複雑そうに感じるかもしれないが、今回一番手間がかかったのは、適合するサイズのファストン端子を探すことだった。加工自体はアクリル板の切り出しからキャビネットへの取り付けまで、30分程度で終了している。
性能を向上させるためのカスタマイズではないのだが、手軽にできるので、読者の方も試してみてはいかがだろうか。