前回、「かんすぴ (P650KとP650-E)」を組み立てたわけだが、今回はその完成品にちょっとしたカスタマイズを施してみたい。カスタマイズといっても、音質的な面でのチューニングではない。あくまでも自己満足的な改造だ。

P650-Eの背面にあるスピーカー接続端子はワンタッチ式だ。太いスピーカーケーブルが使いにくいという傾向はあるが、かんすぴの性格上、それほど高級なケーブルを使用することもないだろう。

P650-Eのスピーカー端子

多くのスピーカーには、下の写真のような端子が使用されている。バナナプラグを接続できるほか、スピーカーケーブルの直接接続やYラグ端子の固定もできる。ワンタッチ式でも悪くはないのだが、せっかく作ったかんすぴのスピーカー端子をグレードアップしてみようと思う。

JBL 4305Hのスピーカー端子

用意するものは

必要なものは、スピーカー端子として使用するターミナル、内部配線用のケーブル、内部配線をスピーカーと接続するためのファストン端子、内部配線をスピーカー端子に接続するためのOラグかYラグ、スピーカーターミナルを配置するための樹脂板、樹脂板の下に敷く制振シートだ。今回は基本的に汎用部品を使って加工していくことにする。

左がスピーカー端子として使用するターミナル。その隣は内部配線をスピーカーに接続するためのファストン端子。右はYラグだ

写真の左側にある赤と黒の端子は、一般的にターミナルという名称で通る部品だ。スピーカーで使用されているターミナルは、軸部分に穴があいていて、そこにケーブルを通して固定できるようになっている。だが、電気パーツ店で取り扱っているターミナルの多くは、この穴は開いていない。ケーブルを直接接続するのならばあったほうが便利なのだが、Yラグなどを使って接続するならば、穴のないタイプでも問題はない。

なお、オーディオ用に販売されている専用のスピーカーターミナルは、とんでもなく高価だ。今回使用しているものは、eBayで購入した中国製の低価格品。8個で300円ぐらいだったように記憶している。

ファストン端子はホームセンターなどでは平型圧着端子という名称で販売されていることが多い。フルレンジユニット P650Kの説明書には、マイナス側は110、プラス側は205というサイズが書かれている。しかし、110と205のファストン端子のメス型を用意すればよいかというと、どうもそうではなさそうだ。スピーカー側の端子は、通常のファストン端子のオス側よりも厚みがあるようで、ジャストサイズでは入らない。今回使用したのはマイナス側が187で、プラス側が250だ。

用意したファストン端子のサイズは187と250

内部配線とスピーカーターミナルを接続するのに、今回はYラグを使用している。たまたま手元にあったものを使用しているだけで、普通ならばOラグを使用するところだ。また、ターミナルに付いてきている卵ラグに内部配線を半田付けしてもかまわない。

内部配線用のケーブルは手持ちのスピーカーケーブルを使用している。一応OFCケーブルなのだが、あまり高級品ではない。1mあたり200円ぐらいのものだ。なお、あまり太いケーブルを使用すると、圧着端子のサイズに合わなくなるので注意が必要だ。

内部配線用に使用したスピーカーケーブル

今回は、樹脂版に手元にあった2mm厚のアクリル板を使用しているが、もっと加工しやすい素材を使用したほうが楽だろう。加工に必要な工具は、アクリルを切断するためのカッター、アクリル板に穴を開けるためのドリル、ドライバー、圧着用の工具だ。

今回はアクリル板を使用したが、加工の手間を考えると別の素材を使用したほうが吉

今回使ったファストン端子とYラグはいずれも圧着端子だ。Yラグのほうは圧着部分が環形になっているタイプで、これは特別な工具がなくても、ペンチなどで圧着することができる。しかし、ファストン端子のほうは、圧着部分がオープンになっているタイプで、これを圧着するのには、対応した工具が必要になる。一番手軽なのは写真のような電工ペンチだ。

電工ペンチ