通常モードと低電力モードを比較する

ベンチマークアプリ「Geekbench 3」にはバッテリーテストが含まれており、iPhoneのバッテリーがどの程度もつかを検証できる。テストに時間制限はないため、iPhone 6を通常モードと低電力モードそれぞれで満充電の状態から3時間測定し、バッテリー残量がどの程度あるかを比較してみることにした。

なお、バッテリーテスト中はディスプレイが点灯したままになるため、実際の利用にそぐわない(スマートフォンはロック状態が稼働時間の大半を占めるはず)ことから、「Dim Screen」スイッチをオンにしてテスト中は画面が暗くなるよう設定した。

その結果だが、前述したCPUのクロックダウン(推定)とほぼ比例している。通常モード時は、3時間後のバッテリー残量は1%とバッテリーをほぼ使い切ったが、低電力モード時の残量は44%。ただ低電力モードに切り替えるだけの設定変更で、バッテリーのもちが4割以上延びた計算だ。

このバッテリーテストは、動作している間一定の負荷をiPhoneにかけ続ける。だから通常モード時は明らかに(Apple A8チップ付近の)温度が上昇するが、低電力モード時はさほど変化が認められない。モバイル回線を使用しないなど実際の利用スタイルとは少々ギャップがあるものの、CPUのクロックダウンがバッテリーのもち改善に大きく貢献していることがわかるテストといえるだろう。

通常モードと低電力モードそれぞれでGeekbench 3のバッテリーテストを実行したところ、低電力モードのほうが4割以上バッテリー寿命が延びた

バックグラウンド動作を把握してバッテリの効率利用を

もうひとつ、バッテリー関連では「バックグラウンド動作」の把握が可能になった。iOS 9で新設の「バッテリー」画面には、電力消費量の多いアプリがシステム全体の電力消費量における割合とともにリストアップされるが、ここで「○日以内」タブの右横にあるタイマーボタン(またはアプリリスト)をタップすると、アプリがバックグラウンド動作で消費したおよその電力がわかるのだ。

たとえば、全体でのバッテリー使用率が5%表示されている「メール」は、タイマーボタンをタップすると「14分(画面上) - 1.4時間(バックグラウンド)」などと表示内容が変化する。この表示は、ユーザが操作していた時間が14分、バックグラウンド動作していた時間が1.4時間という意味だが、メールが動作していた合計98分がバッテリー全体の5%を現在選択しているタブの期間内に消費した計算となる。

「メール」はつねにバックグラウンド動作を許可された特別なアプリだが、現在のiOSではサードパーティー製アプリにもバックグラウンド動作が許可されている。あまり利用していないはずなのに使用率が上位にランキングするアプリは、このタイマーボタンで謎がとけることがある。

Facebook公式アプリは、その代表格と言っていいだろう。1日の利用時間がわずかにもかかわらずバッテリー使用率がなぜか多い、という場合にはタイマーボタンをタップしてみよう。「画面上」の時間より「バックグラウンド」の時間のほうが多いくらいかもしれない。

LINEなどメッセージング機能を持つアプリはこの傾向が多いため、バックグラウンド動作を禁止して(当然関連する機能は使えなくなるが)バッテリーを節約する、という余地が見えてくる。アプリの無駄な動作を厳しく制御したければ、タイマーボタンのタップから始めてみよう。

バッテリー残量が80%を回復すると、低電力モードは自動的に無効化される

「設定」の「バッテリー」画面でタイマーボタンをタップすると、長くバックグラウンド動作するアプリを特定できる