映画の視聴スタイルだが、悩んだ末テーブルに置くことを選択した。NS850/CABは4K対応の最上位ノートPCなので、今どきのノートPCにしては重量感がある。このため、120分の長丁場を膝に載せて過ごすには厳しいと判断。また、ウーファーの低音を生かすためにもしっかりとした台が重要と考えた。
ディスプレイの明るさ調整も重要。15.6型ワイド4K IGZOパネルの精細な画像を堪能するため、ある程度の輝度を確保したいところだが、バッテリ駆動で乗り切るにはできるだけ輝度を下げるしかない。もっとも、映画館の雰囲気を楽しむため部屋の照明を落とすので、今回については問題ない。
再生ソフトは、バンドル品の「CyberLink PowerDVD」を利用した。今回は本機デフォルトの状態で再生すべく、出力する音声は初期設定のまま(Dolby Digital 5.1ch/448Kbps)とし、NS850/CABに載っているヤマハの音響技術「AudioEngine」の設定画面で映画モードを選択した。しかし、CyberLink PowerDVDには「TrueTheater Surround」というバーチャルサラウンド機能があるので、こちらを利用する手もある。
予想以上の没入感、広がる「音」
これで準備は万端、飲み物とポップコーンを用意して再生ボタンを押すと……いきなり、あの独特な世界観に引き込まれる。あとは映画に身を任せるのみ、最後の最後まで息をもつかせぬ展開が繰り広げられる。
ネタバレになるため詳しくは書けないが、この壮大な"行って帰ってくる"物語は、ただひたすらに音がポイント。セリフではない、「音」だ。漢らしさの象徴である主人公、MAXに言葉は必要ない、背中で語ればいい(諸事情あって「ハイオク」などと語っているが)。ひたすら突き進むウォーボーイズたちにも痺れっぱなし。あの太鼓隊と宙吊りギタリストは、何度見てもいい。素晴らしすぎる。それもこれも、凄まじい「音」と殺伐とした「絵」のバランスあってこそだ。
さて、実際の音と絵だが、及第点と敢えて言いたい。IMAXシアターの大画面と大音量にはさすがに及ばず、もっとこう、腹にくるような重低音を、と感じてしまうシーンはもちろんある。リアルサラウンドシステムではないため、背後から爆音が近づいてくるなどということもない。ディスプレイ表面が光沢タイプのため、暗いシーンで自分が写り込んでしまうことも気になった。
しかし、「音」に関する没入感は予想以上。AudioEngineの効果か、音場が15.6型ディスプレイの縦横を超えて広がるような感覚を得られるのだ。キーボード上部の左右に配置されたサテライトスピーカーの最大出力は2W+2Wだが、フルボリューム近くまで上げても音は割れない。それになにより、新搭載したサブウーファーの効果が大きい。腹に響くほどではないにせよ、低音の迫力はある。バッテリとの兼ね合いからボリュームは80%台に設定したが、電源をつないだ状態で再生するのならばもう少し上げても良さそうだ。
NS850/CABが出す音は、少なくともノートPCの低音という先入観を軽く超えるレベルに達していることは確か。誰にもジャマされず、かといってヘッドホンという殻に閉じこもらず、「MAD MAX: Fury Road」のヒャッハー! な世界を堪能できることだろう。