――TVシリーズ第1期の収録から数えると既に2年が経ちました。ご自身の中で変化はありましたか?

あっという間でしたが、一つ一つ思い出すといろいろなことがあったなと思います。声優になりたてホヤホヤの頃にこの坂道くん役をいただいて、マイクの前に立つと頭が真っ白になって、自分がどこの台詞を喋っているか分からない状態でした(苦笑)。とにかく目の前にあるものに向かって、坂道くんと一緒に全力で臨んで、その中で成長していたらいいなと思っていました……というか、今も思っている最中です。

――『弱虫ペダル』に参加されて得たものがありましたら教えてください。

作品の中で坂道くんが「自転車は楽しい競技なんだ」ということを知るんですが、僕はこの作品に参加したことによって「演じることって楽しい」ということを感じることができました。もともと演じることが楽しくてこの世界に入りましたが、改めてそう強く思うようになりましたね。

――以前、ご自身と坂道は似ていると仰っていましたが、今でも似ているキャラクターは坂道ですか?

そうですね。以前よりも強くそう感じるようになりました。ずっと一緒に戦ってきた分身というか相棒というか、不思議な感覚ですね。マイクの前に立って喋り出したら「自分は坂道くんなんだ」と、憑依したような感覚に自然となります。

――坂道以外で好きなキャラクターは誰でしょうか?

どのキャラクターも好きなんですが、坂道くんを演じているせいか、やはりチーム総北が好きです。本当に家族のような関係だったなって思います。金城さんを筆頭にそれぞれ役割があって、みんなチームを想って、引っ張って、託してきた。いろいろなドラマを乗り越えてきたので、やっぱり特別な気持ちになります。部員が少ないというのも、いいところなのかも。名門ゆえに部員がたくさんいる箱根学園に比べて、総北はみんなで一丸となっている感じが強く出ていると思います。部室の大きさからもアットホームな感じがしますし(笑)。自分が通うなら絶対総北ですね。箱根学園は優秀な人が多い分、競争率が高そうで大変そう……(笑)。

――物語に一番近い主人公という位置で見てきて、『弱虫ペダル』の魅力はどんなところにあると思いますか?

キャラクターが好きな人や物語が好きな人、自転車が好きな人というように、人によって感じ方は違うと思います。でも、キャラクターから入った人が自転車に興味を持つように、その興味がどんどん広がっていくんです。実際に『弱虫ペダル』をきっかけに自転車にハマって、レースに出て優勝をしたという人もいると聞きました。そんな風にいろいろな可能性を見つけられるような作品なんじゃないかな。小柄で頼りない坂道くんが立ち向かっていく姿を見て、「自分も何か挑戦してみようか」、「何か見つけられるんじゃないか」という勇気やパワーをもらえる、素敵な作品だと思います。

■プロフィール
山下大輝
9月7日生まれ/静岡県出身/アーツビジョン所属/おもな出演作に『乱歩奇譚 Game of Laplace』(ハシバ)、『ランス・アンド・マスクス』(花房葉太郎)、『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEレボリューションズ』(天草シオン)など

(C)渡辺航(週刊少年チャンピオン)/劇場版弱虫ペダル製作委員会