そしてもう1軒は、香港のヘリテージビル再開発の代表格「1881ヘリテージ」。読んで字のごとく、1881年に建設された元水上警察をリノベーションした商業施設で、高級ブランドやレストランが入居する。建物だけでなくその周辺もヨーロッパ調に整備されており、香港きってのオシャレゾーンである。MTRの尖沙咀(チムサアチョイ)駅から徒歩約1分という立地もうれしい。
観光地の中の穴場的なレストラン
まるで博物館のようなこの建物。中庭へと続く廊下のレトロな空気にうっとりしつつ、開けたその先には広東料理の「隆濤院」の入り口が。隆濤院はホテル「Hullet House Hotel」のメインダイニングで、まるで時が止まったかのような静かなたたずまいが魅力。外の喧騒もここまでは聞こえてこない。ホテルのダイニングゆえか、はたまた平日だからか、ランチタイムにもそれほど多くの客がいるわけでもない、やはり穴場的なレストランである。
内装はモダンチャイニーズ。落ち着いた雰囲気で大人の空間、といった趣だが子連れでも問題なく入店可能だ。ここでのお目当てはやはり点心。アラカルトと食べ放題から選ぶことができ、メニューの内容はだいたい同じ。だが、食べ放題にはない料理もあるので、どちらにしようかおなかの具合とよく相談する必要がある。ちなみに、この店の人気メニュー「紅粉香檳蝦餃(ロゼシャンパンの海老餃子)」は食べ放題にもあるのでご心配なく。
オーダー式でいつでもできたて
香港の飲茶というと点心の入ったせいろを山積みにしたカートがテーブルの間を練り歩き、呼び止めて好きなものを注文、というスタイルが多いが、こちらはオーダー式。渡された紙にチェックマークか、ほしいだけ数を書き入れる。
できた順に料理が運ばれてくるが、やはりテーブルいっぱいにせいろが並ぶのを見ると気分がアガる。2皿目以降は紙に書かなくても「同じものを」と注文すればまた持ってきてもらえるので、常にできたてをいただけるようゆっくりオーダーするのもいいだろう。これだけのロケーションの良さ、高級感、そしてメニューの数々とあって平日のランチ食べ放題は大人ひとり198香港ドル(約3,070円)と、なかなかのお得感だ。
ランチは、平日は11:30~14:00、土日曜日・祝日は入れ替え制で11:00~13:15、13:30~15:30までとなる。なお、土・日曜日のランチは大人ひとり248香港ドル(約3,840円)となる。
香港には手軽に楽しめる下町グルメがいっぱいあるが、「たまにはゆっくりしっとりした時間を」という人は、こんなリノベーションされた空間でレトロモダンなひとときを楽しんでいただければと思う。
※1香港ドル=15.5円で換算。記事中の価格・情報は2015年8月取材時のもの