もはや王者の貫禄すら感じるiPhone 6s
iPhone 6sについても3D Touchの搭載や4K動画撮影対応の12Mピクセルカメラの搭載、そしてローズゴールドの追加はリーク情報通りで、大きなサプライズはなかった。とはいえさすがにiPhone市場最高の販売実績をあげたiPhone 6の後継だけに、完成度の高さは折り紙付き。iPhone 6は1年間を通じてランキングを席巻し続けたが、今回もまたランキングトップの座を占めるのは間違いないだろう。
今回注目していたのはLTEのサポートで、予想通りLTE-Advance(Cat.6)対応してきたが、これまで日本国内のLTE-Advanceサービスは225Mbpsのみの対応だったところに、NTTドコモがiPhoneの発売に合わせて262.5Mbpsでのサービス開始を発表してきた。以前、ドコモに既存のLTE-Advance対応端末が今後サービスの速度向上があったときに増速対応する予定はあるかと問い合わせた時、その予定はないということだったので、しばらくはiPhone 6sが最速端末となるわけだ。ハードウェア側の都合もあるにせよ、これはドコモなりのiPhoneへの特別待遇のようにも見える。もっとも日本独自の1.5GHz帯は今回もサポートなしだったのは、同帯域を保持するドコモとauにとっては残念だっただろう。
Wi-Fiについても、iPhone 6の段階でIEEE 802.11acに対応していたが、6では1ストリームのみの433Mbps接続だった。今回、デザインが変わらないのでアンテナ周りも変わらないと思っていたが、6sでは2x2 MIMOで867Mbpsでの接続が可能になっていた。地味なところだが、通信速度の高速化だけでなく、接続の安定性も向上するので、iPhone 6sを購入予定の方は、ぜひ11ac対応ルーターも合わせて導入してほしい。
ところで、米国ではアップル直営店などで、毎年最新のiPhoneが利用できる定額制サービス「iPhone Upgrade Program」が始まる。端末と容量によるが、月額32.41ドルからのサービスで、年間に直すと約389ドル(=約4万6670円)~。これでSIMフリーのiPhoneをAppleCare+付きで利用できるという。プランは毎年自動更新で、1年経った端末は最新の端末と交換してもらえる。水没や破損に対する補償もあるので、まさに至れり尽くせりだ。
日本でもauが18カ月で機種変更できる「アップグレードプログラム」を開始しているが、これより期間が短く、特定キャリアの縛りもない。そもそも海外では日本のように「実質0円」プランがないため、購入時には実費を負担していることを考えると、多くのユーザーにとってこれは相当魅力的に映るのではないだろうか。
これはブランドが確立したアップルにしかできない芸当ではあろうが、キャリアにとっては完全に土管化されることを意味するわけで、正直心穏やかではないだろう。日本への導入も期待されるが、前述したように日本ではキャリアが端末代を負担しており、そのままのスタイルで導入できるかは疑問が残る。ただし、アップルストアでのSIMフリー端末のみ、ということであれば即座に導入されてもおかしくはない。個人的にはMacでこそ実施してほしいのだが……。