Siriなりの言い分

こうした中で、iOS 9のSiriはどのような進化を遂げようとしているのか。

進化のポイントは、以下の5点だ。

  • Spotlight検索との連携強化

  • スポーツや天気などの情報提示をより深く

  • 単位や為替の変換などの計算に対応

  • 端末内のデータ、アプリを活用した検索の対応

  • Spotlight検索画面で、よく使う連絡先やアプリ、周辺のスポットなどを提案

検索の活用強化という側面から、GoogleやMicrosoftなどと狙う方向性は近くなっているが、極力端末内で解決しようという傾向を強めているようにみられる。つまりSpotlightとSiriをより密接に連携させるということだ。

例えば、これまで単位計算などは、Wolfram Alphaを活用して行ってきた。このサービスは知識エンジンと言われており、検索キーワードに対して、その言葉が含まれたページを返す検索エンジンと異なり、直接答えを提示する仕組みだ。しかしiOS 9では、このサービスに頼らず単位計算を済ませるようになる。

またSpotlightの機能は、端末内のあらゆるデータを検索可能にする仕組みで、これにはアプリ内のデータや、アプリを介した検索も含まれるようになる。そのため、アプリ側の対応も必要になるが、Siriから直接、アプリの検索を活用することもできるようになっていく。

機械学習の活用

WWDC15で披露されたSiriの進化で興味深かったのは、「Siriの検索候補」だ。

WWDC15のiOS 9の紹介で、Siriの進化について説明があった。プロアクティブアシスタント、つまり先回りして問題解決を行う仕組みとしての進化が焦点となる

iOS 9のテーマの1つに「インテリジェンス」があり、それを実現する方法として「プロアクティブアシスタント」、つまり先回りをして、やろうとしていることを便利にしてくれる仕組みを導入することだ。

これまで音声アシスタントのインターフェイスとして「Siri」という名前を使ってきたが、Appleが披露したiOS 9では、先回りしてアシストする機能全般に「Siri」という名前を使っていた点が印象的だった。

WWDC15のデモによると、ホーム画面の左端に用意されている検索画面を開ける仕組みになっており、ここに連絡すべき相手やよく使うアプリ、近隣のスポットのワンタップでの検索、最新ニュースなどがまとめられている。

Siriブランドは、音声での操作から拡大している。iPhoneの検索画面では「Siriによる検索候補」として連絡先やアプリの候補が自動的に表示されるようになった。プライベートな機械学習が生かされているという

これらの候補は、各アプリへのディープリンクとなっており、直接情報にアクセスできる仕組みになっている。

また、時間帯や場所、スケジュールなどに応じて、アプリの候補や連絡先の候補は入れ替わるとしており、朝起きてヨガアプリを利用する習慣があるなら、そのアプリが候補として現れ、ホーム画面から探さなくてもSiriの検索候補からすぐにアクセスできる。

その他にも、ロック画面でのアプリの提案や、イヤホンを挿した際に音楽アプリを候補に出すなど、ユーザーの行動を学びながら操作の手順を1つずつ減らす方法を提案してくれる。