2009年7月に行われた第1回「東京スーパーモデルコンテスト」でグランプリを受賞し、ファッション誌『CanCam』の専属モデルとして芸能界デビューを果たした山本美月。デビューから6年。さまざまな作品を経て、満を持して初主演映画『東京PRウーマン』(8月22日公開)に挑んだ。山本演じるドジな銀行員・玲奈が、実在のPR会社に転職する物語で、さまざまな障害を乗り越えながら成長していく姿が描かれている。

初めて出演した映画『桐島、部活やめるってよ』(13年)で注目を集めると、『黒執事』、『女子ーズ』などの映画、ドラマでも『SUMMER NUDE』、『僕のいた時間』、『アオイホノオ』、『地獄先生ぬ~べ~』など、次々に話題作のオファーが舞い込んでいる。最近では、日清・U.F.O.のツンデレ先生が象徴するように振り切ったキャラクターとしての起用も増えてきた。"女優・山本美月"に今なにが起こっているのか? 彼女の言葉からは周囲を癒やす愛くるしさと同時に、人知れず悩み、葛藤を繰り返してきた形跡を感じることができる。

――初主演ということで、ブログにも「緊張の毎日」と書かれていました。やはり、撮影に臨む気持ちはいつもと違いましたか。

女優の山本美月 撮影:荒金大介

すごく緊張しましたが、今までいろんな主演の方々を見てきてみなさんすごい方ばかりでしたので、私も同じようになれればいいなと思いました。撮影前は不安に思うこともありましたけど、結局最後は「楽しもう」と前向きに。現場では共演の方々に積極的に話し掛けようと意識したりもしました。「主演」ということだけを考えた時に、性別や年齢によって臨むべき姿勢が違ってくると思いますが、私はまだデビューして6年のひよっ子。だから、皆さんを引っ張っていくようなことはできないので、周りが楽しくリラックスしてお芝居できるような雰囲気作りを心がけました。

――これまでの現場では、タイプ的には受け身だったんですか。

いつもは気を使って、話し掛けてよさそうな雰囲気だったら、少しだけ話し掛けてみたりだとか。撮影期間は二週間弱です。本当にあっという間でした(笑)。でも、主演という立場を通じて、スタッフの方々ともしっかりとコミュニケーションを取れたのは、次につながる良い経験でした。キャストだけで固まらず、制作部のみなさんと仲良くしていただきました。

――本作はPR会社が舞台です。詳しい仕事内容はご存じでしたか。

広告代理店との違いをあまり理解していなかったので、ホームページで調べました。今回の撮影を通して分かったのは、PRの正解は1つじゃないということ。物を作り出すこととは違って、商品をPRする方法はいくつもあります。そこに携わっている方々は本当にすごいなと思いました。

左からPR会社上司・草壁亮平役の山本裕典、銀行からPR会社に転職した三崎玲奈役の山本美月、三崎が合コンで出会ったアパレル会社社長・武藤慎吾役の桐山漣 (C)2015「東京PRウーマン」製作委員会

――その事前調査も関係してくると思うのですが、演じる役の特徴を紙に書き出して役作りをするという噂を聞きました。本当なんですか。

本当です。最近は絵も描くんですよ(笑)。『桐島、部活やめるってよ』(13年)から書くようになりました。文量はその時々によって違いますが、たくさん書き出すこともあります。今回は何を書いたんだっけなぁ……なぜか毎回忘れてしまうんですよね(笑)。基本的にはメモ帳に書いているんですけど、それをなくすことが多いのでノートとか台本とか転々といろいろなものに書いています。文房具に関しては浮気症で(笑)。文房具が好きで、いろんなものに書きたくなってしまうんです。

――今回は何を書いたか思い出せませんか?

あっ! うーん……ちょっと待ってくださいね。なにか……書いた気がするんだけどなぁ(笑)。玲奈がどん底まで落ち込むシーンがあって、そこの気持ちを表現するためにとても悲しいことを書いたような気がします。ひたすら反省文を書くような感じで。あそこでズドンと気持ちを落とさないといけなかったので、大事なシーンだったと思います。

――何もかもがうまくいかないどん底。でもそこから玲奈は這い上がっていきます。ご自身としてはこれまでそのような経験はありますか。

お芝居が思い通りにできなくて落ち込むことならあります。人からすごくダメ出しされた時とか。デビューしてすぐの頃と比べると減ってきましたが、まだあります。