Ultra HD Blu-rayの存在価値とは

では、Ultra HD Blu-rayに意味はないのか? もちろんそんなことはない。

その理由は「高品質」にこだわることにある。4Kでのネット配信は、ビットレートが15Mbpsから30Mbps程度しかない。コーデックの進化により、それでも解像感を味わえるようになっているものの、Blu-rayの最高ビットレートにも届かないわけで、本質的には決して「高画質」ではない。

しかし、Ultra HD Blu-rayではメディアとしての最高転送レートが129.7Mbpsとなり、映像にもっと多くの帯域を割り当てられる。一般的な映画の場合でも、40Mbps程度にはなると想定される。となると、ネット配信よりはるかに高画質になるわけだ。

わざわざ映像ディスクを買う人は、作品に強いこだわりがある人だ。ネット配信、特にサブスクリプション型のサービスでは、映像をいつでも見ることはできても「所有」することはできない。映像を所有することを望む人には現時点で最高級のものを、というのがUltra HD Blu-rayの考え方と言える。

一方、映像のコンテンツを制作するフォーマットやプロセスについては、画質が異なっても共通の部分が多い。そのため、家電メーカーやコンテンツメーカーは、Blu-rayアソシーエーションとは別に作られた「UHD Alliance」を組織し、コンテンツ制作の円滑化を進めている。こちらにはNetflixも参加しており、ディスクメディアに限った団体ではない。

今後、映像の世界は、手軽さや便利さ」と「こだわる人向けの高品質」が分かれ、費用や機材によって住み分けが進む。物理メディアであるUltra HD Blu-rayは明確に後者のためのものであり、DVDやBlu-rayとは役割を少し変えて行くことになりそうだ。