――立体機動の訓練では、絶叫アトラクションの「バードマン」のようにロープにつるされて滑空する場面もありましたね。
武田「あれはけっこうバランス感覚が必要で、私はすぐぐるんと回転しちゃうんです。秀君はすごいバランス感覚がよくて、現場でもみんなから『上手だね』と言われていました」
渡部「毎日つけているわけじゃないですから、慣れるまでに時間はかかりましたね。特に、アクションしながら脇の下を抜ける動作の時にはぶつかってしまうこともありました。また、前転したり、着地した時にバランスをとったりするのが難しかったですね」
――フクシはムチとも対決しています。
渡部「あのムチはCGなのですが、想像してタイミングを合わせて演技をする必要があるので逆に難しいんですよ。相手が攻撃を放ってから自分の足元に届くまでの時間を逆算して、時間差をとって演じていました」
――ワイヤーアクション、格闘シーンとかなりの練習期間が必要なのでは?
渡部「期間2カ月のうち、きちんと練習できたのは実質1週間ないぐらいでしたね。映画が終わって10カ月、11カ月ほどたったころから始めたのですが、1週間に1回、それも大きな機材を使う練習が多かったので、1日の中でリルがやる時間と僕がやる時間を分けて、使っていない方は見て参加するという感じでした」
――練習、撮影と一緒に作品を作っていく中で、お互いに刺激されたところもあったのでは?
武田「すごいストイックだなって思いましたね。ドラマのアクションの練習がはじまった時、秀君はまだ別の舞台公演の期間中だったんです。でも、その合間にも練習に来ていて……。みんなの前では笑っているんですけど、ふとした瞬間にすごく疲れていることもありました」
渡部「そんなことないよ。ぜんっぜん疲れてない(笑)」
武田「でもすごいストイックな人だなと思いました。映画の撮影時も、監督に『これどうしたらいいですか?』とか『どうやったらいいですかね?』って進んで演技について質問したりしていたので、私も刺激になりました」
渡部「武田さんは、アクションがすごく上手だし、お芝居でも対応力がある方だと思います。その場でちゃんと組み立てて、順応していく感じですね。そこは見ていてすごいなと」
――現場の雰囲気もよかったんですね。
武田「そういえば、ドラマの撮影中にユノヒラ役の神尾佑さんがお誕生日だったので、秀君がケーキを買ってきてくれて、サプライズでお祝いしに行きました」
渡部「そうそう。わざと小学生にあげるような、パステルカラーのかわいいケーキを選んで部屋に押しかけて……。神尾さんは『仮面ライダーオーズ/OOO』の時からお世話になっていたので」
武田「私も、現場で16・17歳くらいの時からです。映画でもドラマでも、私たち2人はよくかまってもらっていました」
渡部「神尾さんは、けっこうツンツンして僕らに冷たいふりするんですけど、意外に優しいんですよね(笑)」
――あらためて、今回のドラマの見どころをお願いします。
渡部「キャラクターたちの内面と過去、そして僕たちの刺激的なバトルシーンを見て映画に行っていただくのはもちろん、逆に映画を見て過去をさかのぼって楽しむこともできるので、人によって楽しみ方が広がるドラマだと思います」
武田「『進撃の巨人』は、映画もドラマも緊迫感のあるシーンが多くて、いい意味で見たあとに『疲れた』という方も多いと思うんですけど、フクシとリルのシーンは肩の力をぬいて見ていただけるシーンも多いので、ぜひ気軽に楽しんでいただきたいですね」
武田梨奈(たけだりな)
1991年6月15日生まれ。神奈川県出身。10歳から琉球小林流空手道に入門し、月心会黒帯。2009年の『ハイキック・ガール!』で映画初主演を果たし、2013年の『デッド寿司』でテキサスのファンタスティック・フェスト・コメディ部門最優秀主演女優賞受賞、昨年の『祖谷物語‐おくのひと‐』で第24回日本映画プロフェッショナル大賞で新進女優賞を受賞した。『ワカコ酒』(15年1月・BSジャパン)で連続ドラマ初主演を務めた。
渡部秀(わたなべしゅう)
1991年10月26日生まれ。秋田県出身。第21回『ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト』(2008年)で準グランプリを受賞。『仮面ライダーオーズ/OOO』で主人公・火野映司役で連続テレビドラマ初主演を果たしたあと、『仮面ライダー×仮面ライダー オーズ&ダブル feat.スカル MOVIE大戦CORE』(2010年)で映画初主演。さらに、2015年6月からは舞台『GO WEST』で舞台初主演を飾った。9月11日より新国立劇場中劇場で上演される舞台『AZUMI 幕末編』に出演する。