歩行動作のセンシングが難しい

パナソニックの川治久邦氏

続いて、川治氏がひざトレーナーについて説明。川治氏によれば、開発で最も苦労したのは歩行動作のセンシングだそうだ。2010年秋に志波教授のもとでハイブリッドトレーニングを試して以降、製品化への道はラクではなかったと語る。結局、15回の試作を経て製品化にこぎつけた。

ハイブリッドトレーニングの肝ともいえるのが、電気刺激を与えるタイミングだ。歩行動作をセンシングし、伸びる筋肉に対して電気刺激を与える必要がある。そこで、シニア層に特徴的なすり足や遅い歩行でも正しくセンシングできるよう、シニア層の歩行動作を徹底的に分析。ジャイロセンサーと独自のアルゴリズムを採用したボディモーションセンサーを左右1基ずつ搭載することによって、「歩きながら」のトレーニングが可能となった。

ひざトレーナーが電気刺激を与えるのは、太ももの前にある大腿四頭筋と、太ももの後ろにあるハムストリングスといわれる部分。これらの箇所に電極ユニットを貼り付けて使用する。

「歩きながら」のトレーニングを実現するのが難しかったという

ボディモーションセンサー、電極ユニット、サポーターの3つの技術を開発

ボディモーションセンサーのスケルトンモデル。脚にフィットさせるため、電極シートにはH型形状を採用

シニアの脚を3タイプに分類してサポーターを開発

ひざトレーナーは今後、地域に根ざしたパナソニックショップを中心に展開していく。それも、パナソニックが実施する研修を受講した認定店のみとすることで、ていねいなカウンセリングを行いつつ販売する。ひざトレーナー認定店は、発表当初予定していた目標店数1,000店を大きく上回る4,800店となったそうだ(2015年8月19日時点)。

地域に密着したパナソニックショップ中心で展開

装着イメージ。腰に巻く専用のベルトには操作器をしまえる

電気刺激を与えるとLEDランプが光る。前後で交互に電気刺激を与えていることがわかる

筆者もひざトレーナーを試してみた。サポーターにはサイズの目安が書いてある

全部で6モード備える

右前、右後ろ、左前、左後ろでそれぞれ電気刺激の強さを調整可能だ