ワコムは、多数のアーティストのCDジャケット、MV 制作、グッズデザイン等やカードゲームのイラストを手がけるイラストレーター・おはぎ氏が、そのイラストテクニックを「Intuos Pro」を使って披露するセミナー「Wacom Creative Seminar Vol. 20 ~for Illustration~」を東京都・新宿にて開催した。ここでは、8月1日に行われた同セミナーの模様をレポートする。
ニコ動での活動がプロへのきっかけ
セミナーの冒頭は、おはぎ氏が自身のプロフィールや仕事内容などについての話となった。2009年よりWebを中心にイラストレーターとして活動する傍ら、作曲家のORYO氏とユニット「FAULHEIT」を組み、動画制作なども行っているという。同氏がデジタルで絵を描き始めたのは小学校3~4年生(12~13年前)の頃で、最初はお絵描き掲示板にマウスで絵を描いていたが、母親にねだってペンタブレットを買ってもらったという。
現在、ペンタブレットはワコムの「Intuos Pro」(medium)、ペイントソフトは「CLIP STUDIO PAINT PRO」を愛用しているとのことだ。イラストレーターとして活動するようになったのは、高校2~3年生の時にニコニコ動画で発表していた動画用イラストやボーカロイドのファンアートを見た人から、雑誌やCDジャケットの依頼があったことがきっかけだという。
このセミナーで使用したイラストは、「コミックマーケット88」で頒布されたCDとイラストのコラボレーション本に収録されている1枚だ。おはぎ氏はワコムが現在実施している「Create more」キャンペーンにおいて厚塗りでのイラストを披露しているが、今回は趣向を変えて「線画を描いてから色塗りを行い、背景を描いて加工をする」という工程の解説が行われた。
Intuos Proの左のボタンに「透明色の切り替え」を割り当て
おはぎ氏はここで、自身の作業環境について紹介した。「Intuos Pro」には、画面左側にカスタマイズ可能なエクスプレスキー(ファンクションキー)が搭載されているが、おはぎ氏はここに「戻る」、「進む」、「透明色の切り替え」、「shiftキー」の4つの機能を割り当てているという。なかでも「透明色の切り替え」は、ブラシを同じ形状・大きさのままで消しゴムに切り替えられること、「shiftキー」は、押したままタッチすることで直線が引けるのが便利だと語った。また、ペンのサイドスイッチに割り当てた「スポイト機能」は色塗りの際に多用しているとのことだ。
また、ペイントソフト「CLIP STUDIO PAINT PRO」を使っている理由については、ユーザーが作成したテクスチャやブラシ、背景などの素材が豊富に配布されており、自由にダウンロードして利用できる点を紹介。おはぎ氏も頻繁にチェックしてイラスト制作に活用しているという。おはぎ氏はもともとは「SAI」で描いていたが、最近は解像度の高いイラストを描くことが多くなり、SAIではレイヤーが多すぎたりサイズが大きかったりすると固まってしまうことがあるため、CLIP STUDIO PAINT PROに乗り換えたと説明した。ちなみに今回のセミナーではノートPCを利用しての作業だが、自宅ではデスクトップPCをデュアルモニター環境で利用しているとのこと。ちなみに、「Intuos Pro medium」のペン先は、ノーマル芯とフェルト芯を気分によって使い分けているという。