【今回のレシピ】
- アーティストではない人のためのスケッチ入門本
- 「Paper」アプリと「Pencil」でiPadをスケッチブックに
- ビジネス向けのスケッチもアシスト機能で手軽
日常にスケッチを取り入れよう、という本
筆者の絵心に関するコンプレックスについてはお伝えした通りですが、ただ悩んでいても始まらないので、とにかく描いていかなければ上手くなりようがありません。とはいえ、何らかのお手本や方法を知るための本が欲しいところでした。
そんな筆者にぴったりだったのが、「SKETCH! The non-artist’s guide to inspiration, technique, and drawing daily life」という本です。アーティストでない人のための日々のスケッチのテクニックやアイディアに関する本。Kindleで日本からも購入することができます。この本では、スケッチのための道具から基礎的なテクニック、そして時間がないときのスケッチの方法など、必要最低限と思われるスケッチに関する話が書かれています。
手短にこの本から得た学びをまとめると、とにかくすべてを描こうとしないで、何を描いたかが分かるような主要な線を拾うようにすること、紙よりも描く対象とにらめっこすること、そして明暗を良く見極めることといったところでしょうか。こういうところから始めると良さそうに思いました。いや、確かに一度習ったような気はするのですが……。
PaperはiPadをスケッチブックに変えてくれる
そうした基礎的な話をやさしく実際のスケッチとともに紹介してくれているこの本を選んだ理由は、また別のところにもありました。第4章には「Going Digital」という章が用意されており、タブレットやスマートフォンでのスケッチについても触れられています。いくつかのスケッチアプリの紹介やスタイラスなども紹介されています。
本書の著者はこの中でも、iPad向けの「Paper by Fifty Three」が気に入っているそうで、筆者もこれを選んでみました。スケッチブックごとにスケッチを管理することができるアプリで、ボールペン風、鉛筆風、絵筆風など、ペン先も複数から選ぶことができる点もポイントです。直前の線を消したいときにも2本指でタップしたまま反時計回りに回転させるだけで直感的な点も使いやすいと思いました。
Pencilを使って、Paper by Fifty Threeで、iPad mini 2をスケッチブックに。デジタルデータとしてスケッチができるため、そのままシェアしたり、プレゼンのスライドに利用する事も |
またPaperを作っているFifty Threeは、アプリ向けに「Pencil」というスタイラスを発売しています。スケッチ用の鉛筆のような幅広のデザインと、手軽なUSBに直接差し込める充電式のペンは、感圧にも対応するほか、お尻の部分のペン先は消しゴムとして機能します。iPadとPaperアプリ、Pencilを使って、気軽で快適に、スケッチが楽しめるようになりました。あとは、描いていくのみです。
ビジネス向けの機能も充実
Paperは、最近のバージョンアップで、仕事にも使えるスケッチアプリとしての進化を遂げました。それまでは、ペン先が選べて、色づけも手軽で人気でしたが、ビジネス活用という新しいアプローチは、ご紹介した「アーティストではない人のためのスケッチガイド」の本のタイトルのように、スケッチの活用範囲が拡がることが考えられます。
Paperが新たに搭載した「Think Kit」は非常に便利です。理想の線とテクニックが一致しないことが、スケッチに対するモチベーションが下がる原因だったと考えると、このキットは技術の欠落を埋めてくれる、本当にありがたい機能です。
まず、描いた線を非常に美しく処理してくれる機能。円や四角形、三角形、直線、矢印などの基本図形を書き込むと、それらの線をビシッとまっすぐ、あるいはきちんとした滑らかな曲線に変換してくれます。四角は四角、丸は丸、とキレイな線が現れ、それだけでも意欲が湧いてくるのです。線で囲まれた領域に色をつけるのもワンタッチです。加えて、曲線を描くとその領域が帯状に塗られる機能も備えていて、グラフのイメージを描く際にも便利に利用できます。
また、スケッチアプリにはあるまじき、と言うべきかも知れませんが、描いた図形をカットして移動させることができるため、変な場所に書いてしまったがためにゼロから書き直し、と言う心配もありません。