既報の通り、5日にIntelが第6世代Coreプロセッサと新チップセット「Intel Z170 chipset」を発表した。これに合わせてマザーボードメーカー各社からも、Z170を搭載したマザーボードが続々と発表された。ここではMSIのZ170マザーボードについて紹介したい。

MSIが公開したラインナップによると、現段階で投入を予定しているのは、「Z170A XPOWER GAMING TITANIUM」「Z170A GAMING M9 ACK」「Z170A GAMING M7」「Z170A GAMING M5」「Z170A GAMING PRO」「Z170A KRAIT GAMING」「Z170A PC MATE」の7モデル。その内、5日に発売となったのは「Z170A GAMING M7」「Z170A GAMING M5」「Z170A GAMING PRO」「Z170A KRAIT GAMING」「Z170A PC MATE」の5モデルだ。各モデルの仕様については2ページ目でまとめている。

MSIの場合、Intel 9シリーズマザーボードでは、汎用性が高い「クラッシック」シリーズ、ゲーマー向けの「GAMING」シリーズ、オーバークロッカー向けの「OC」シリーズの3シリーズで展開していたのだが、Z170マザーボードでは製品名を見ると分かる通り、ほとんどがゲーマー向けのモデルとなる。MSIはノートPCを筆頭にゲームに特化した製品展開をしてきている。マザーボードでもその流れを踏襲した形だ。

ただ、ゲーミングシリーズ内でセグメントが細分化されており、ハイエンド向けは「Enthusiast GAMING」、ミドル向けは「Performance GAMING」、エントリー/ライト層向けは「Arsenal GAMING」に分かれる。

ゲーミングシリーズでのセグメント。「Enthusiast GAMING」はパフォーマンスが必要なAAAタイトルをプレイするようなゲーマー向け。「Performance GAMING」はLeague of LegendsのようなMOBAやMMOをプレイするゲーマー向け。「Arsenal GAMING」はカジュアルゲーマー向けだ

Enthusiast GAMING

「Enthusiast GAMING」は、「Z170A XPOWER GAMING TITANIUM」「Z170A GAMING M9 ACK」「Z170A GAMING M7」「Z170A GAMING M5」をラインナップする。M9/M7/M5についている"M"は"Master"を示すものだという。

さて、新モデルでは、MSI独自の品質基準「Military Class」のバージョンが上がり「Military Class 5」となった。「Military Class」では、高耐久かつ長寿命のコンポーネントを搭載しているが、新たにチタン製のチョークコイルを採用した。従来のスーパーフェライトコアチョークに比べて、耐久度や寿命、効率が優れているという。

Military Class 5で品質の向上を目指す

Z170マザーボードでは、サポートするインタフェースが豊富だ。ポイントはいくつかあるが、代表的なのはUSB 3.1のオンボードサポートおよびType-Cコネクタの実装で、MSI製マザーボードでは、USB 3.1 Type-AとType-Cのコンボコネクタを搭載する。

MSIはIntel9シリーズでもUSB 3.1をいち早く採用してきたこともあり、Z100シリーズでも積極的にUSB 3.1を搭載する

メモリはDDR4をサポートするが、メモリ回路を周辺の部品から独立させ。信号の安定性を保つ「DDR4 Boost」の実装に加え、XMP時に光る「XMP LED」を搭載する。

「DDR4 Boost」は回路のパターンがプリントされて目立つ

XMPの適用時はLEDが光る

チップセット側のバスがPCI-Express 3.0に対応したことで、ストレージのインタフェースも高速化している。転送速度が最大16Gbpsに向上したSATA Expressや、PCIe Gen3 x4接続に対応した「TURBO M.2」を備えるほか、M.2からU.2への変換アダプタもオプションで用意する。

各インタフェースは、SSD向けの接続規格「NVMe」に対応する

MSI製Z170マザーボードでは、PCIeスロットを金属で補強した「Steel Armor」を採用する。重量のあるグラフィックスカードによるダメージを防ぐ。はんだ付けの接点を増やすことで基板の補強も行う。

金属で補強したPCIeスロット「Steel Armor」

背面から見た様子。赤線で囲った部分がはんだ付けの接点

どちらもx16スロットだが、左が16レーンで右が8レーンのもの。8レーンの方が補強用の接点が多い

また、オーバークロック向け機能「OC Engine」を強化。「OC Engine 2」では、クロックジェネレータでBLCKを1MHz単位で調整できる。

IDT製クロックジェネレータを搭載

MSIのゲーマー向けモデルでは、Killer NICを幅広く採用しているが、Z170マザーボードでもコントローラに「Killer LAN E2400」を搭載する。Killer NICでは「Killer Network Manager」という機能により、アプリケーション単位で、ネットワークにおける優先順位を変更することが可能で、自動的にゲームの優先度を上げることもできる。

有線LANのコントローラにはKiller LAN E2400を採用

上位モデル「Z170A GAMING M9 ACK」では、無線LANアダプタ「Killer wireless AC 1535」を搭載し、有線LAN側のKiller NICと連携することで、最大1,867Mbpsの通信に対応する「Killer Double Shot Pro」を利用できる。

上位モデル「Z170A GAMING M9 ACK」では、無線LANにも対応する

また、専用ユーティリティ「Command Center」からは、RAMDISKの作成・管理やキーボードマクロ機能「GAMING Hotkey」などが利用できる。

RAMDISKの作成の作成は従来モデルでも搭載されている

ゲームプレイ向けに応答性を調節できる

2,M@Hotkeyはマクロの設定だけでなく、ブーストやBLCKの調整などもファンクションキーで実行できる

続いてはサウンド機能について。上位モデル「Z170A GAMING M9 ACK」では、独立したオーディオ用基板回路に加え、日本ケミコンのオーディオ用コンデンサ、TIのオペアンプ「OPA1652」、ESSのD/Aコンバータ「ES9016K2M」、Cmediaのオーディオプロセッサ「CM6632A」で構成されたシステムを搭載する。

「Z170A GAMING M9 ACK」に搭載されたオーディオ向けのコンポーネント。ESS 9016K2MはポータブルUSBアンプや、プリアンプなどにも使われている

また、「Z170A GAMING M7」「Z170A GAMING M5」「Z170A GAMING PRO」「Z170A KRAIT GAMING」では、オーディオ用基板回路、日本ケミコンのオーディオ用コンデンサ、TIのオペアンプ「OPA1652」×2基で構成された「Audio Boost 3」を搭載する。

「Audio Boost 3」の概要

また、MSI製ゲーミングノートでも採用されているNahimicのサウンド機能拡張ツールにより、ヴァーチャルサラウンドや周波数特性の調整、ボイスレベル調整、ノイズリダクションといった機能が利用できる。

Nahimicの機能はMSI製ゲーミングノートですでに採用されている

Performance GAMING

「Performance GAMING」のセグメントでは「Z170A GAMING PRO」「Z170A KRAIT GAMING」の2モデルをラインナップ。「Enthusiast GAMING」でも搭載していた「Military Class 5」「Gaming LAN」「DDR4 Boost」「Audio Boost 3」「Gaming Hotkey」「Mouse Master」といった特徴や機能はそのまま搭載する。

Nahimicの機能はMSI製ゲーミングノートですでに採用されている

ただ、「Gaming LAN」の場合、LANコントローラがKiller NICからIntel LANになるなど、変更が加えられている。また、PCに内蔵したLEDによるイルミネーション機能「Mystic Ligh」を搭載。アプリから色や発光のパターンを設定できる。

LANコントローラはIntel製を搭載する

マザーボードの端の部分やサウンド回路付近にLEDを内蔵する。サウンドのパターンはいくつか選べ、音楽に合わせて光らせることができる